ニッケイ新聞 2014年3月18日
9月から始まった北伯マデイラ川の増水が最高水位を更新中の15日、ジウマ大統領がロンドニア州ポルト・ヴェーリョなどを視察した▼川の水位が19メートルを超え、感染症なども報告されている事は13日付弊紙既報だが、編集部ではその日、大統領がこの地域をまだ訪問していないという話が出ていた。というのも、大統領就任直後にリオ州山間部で起きた水害の時は即座に視察に飛んだ事が思い出されるからだ▼その一方、サントアントニオやジラウの水力発電所のダム建設が被害を拡大しているという説も出ている中、元鉱山動力相だった大統領はこれらの声に当然反論したがるだろうとの思いも浮かんだ。そういう意味で、ネット上で大統領がマデイラ川流域を視察したと知った後、どんなコメントが出るかが気にならなかったと言ったら嘘になる▼ロンドニア州知事らはマデイラ川の水位が19・10メートルに至った12日に大統領を訪問し、連邦政府の支援を要請。13日には国家統合省がアマゾナス州の被災者の支援に170万レアルを支出する事を発表など、政府としても北伯の水害をそれなりに受け止めていた筈だが、リオの水害では即座に反応した大統領が北伯にはなかなか行かなかったのは、前記2発電所への批判を聞きたくなかったからと勘ぐりたくなるのはコラム子だけか▼16日付フォーリャ紙には、同地域の増水は発電所のせいではなく、ボリビアの大雨やアンデスの雪解けが原因との大統領の弁が載った。発電所の建設許可の際も隣国の雨は考慮された筈であり、隣国は当時、ダム建設で自国でも増水が増えると案じていた事にはどんな釈明をするのだろうか。(み)