ニッケイ新聞 2013年11月2日
【既報関連】1日に報じた、サンパウロ市財政局元副局長を中心とした4人のサンパウロ市職員による5億レアル以上に及ぶ大型収賄事件で、検察局の調べや逮捕された市職員の供述などにより、毎週28万レアルもの賄賂を受け取っていたことが分かった。この賄賂の払われ方、支払いを行なった建設会社の具体的な名前まで明らかになった。カサビ前市長時代の事件だけに、ハダジ市長は執拗に追及する構えのようだ。2日付伯字紙が報じている。
フォーリャ紙1日付けによれば、この事件の主犯格と見られるロニウソン・ロドリゲス容疑者が09年にサンパウロ市財政局副局長に就任する前夜、皮肉なことに「脱税摘発を最優先課題にする」と講演していた。同容疑者の弁護士は「無実の罪」と訴えているという。
エスタード紙によれば賄賂の手口とは、ISSとして市に払うべき総額の30%分を建設会社が容疑者グループに渡し、10%を税金として納め、残りの10%分を会計士に払うというもの。つまり本来の税額の10%しか市役所に納めない。建築会社からすれば、本来納めるべきISS総額の半額まで負担を減らせるものだ。
建設会社が市から建設許可証(Habita—Se)を取得するのに必要なサービス税(ISS)の支払い保証書の発行の際、容疑者らがISS減額の見返りに贈賄を求めたものだ。
マガリャンエス容疑者が1日に行った自白によると、同グループはこの手口で、毎週合計で28万レアルもの賄賂を受けていたという。
供述や調査によって明らかになったのは、贈賄に関わっていた企業の一部で、トリスル、ブルックフィールド、BKO、タルジャブ、アリモンチ、の5社だ。うち前記2社はサンパウロ総合証券取引所(BOVESPA)に株公開を行なっている大手で、特に後者は昨年明るみになったサンパウロ市内のショッピング建設に関する疑惑でも名前が取り沙汰されている。これ以外の社名も多く取り沙汰されているようが公表されていない。
トリスル、BKO、タルジャブの3社は贈賄を現金で行なっていたとされ、ロドリゲス容疑者が勤務する市役所11階で主に支払われていた。5階が市長室だ。レプブリカ公園のカフェでも取引が行なわれていた。
ブルックフィールドは現金を直接払うのが困難だったことから、容疑者グループが作った口座に振り込んでいたという。今回の事件は、財政局員ルイス・アレッシャンドレ・カルドーゾ・デ・マガリャンエス容疑者が、収賄用の口座をめぐり米国マイアミの銀行と電話をしている記録が確認されたことが、検察が同グループの犯行を断定するきっかけになった。
アリモンチは、最初はこの贈賄に加わっていたものの、途中で仲違いをして降りたという。検察局によると、この4人以外に、最低でもさらにもう2人の市職員がこの犯行に絡んでいる可能性があるという。