ニッケイ新聞 2013年11月2日
石油・天然ガス開発のOGX社が先月30日、会社更生(recuperacao judicial)法適用の申請手続きに入ったと同月31日付エスタード、フォーリャ両紙が報じた。
ブラジルきっての大富豪バチスタ氏が所有するグループEBX内の最大手OGX社。ブラジル史上最大の民間石油開発企業として120カ所以上で100億レ以上を投資してきたが、昨年6月末、リオ北部のバシア・デ・カンポスに所有するトゥバロン・アズル油に対する市場からの信用が落ち、株総額価が大暴落した。
同油田は2012年1月に開発が始まったが、石油生産量が予想を大幅に下回り、投資家らの期待を裏切ったことが5カ月後に判明。金融関係者の信頼を損なったことで資金繰りが立ち行かなくなり、同社の不振がグループ企業全体の不振に繋がった。裁判所に提出された書類にも、「商業的に採算を取れる見込みが無いと分かっていた油田開発のための設備を購入していた」と記述されている。
これ以降、約1年半にわたり市場からの信頼回復を図ってきたエイケ氏だが、事実上業務不履行に陥ったことで苦渋の決断を取った格好だ。2012年3月には世界長者番付第7位となったエイケ氏だが、現在までの同氏の損失額は300億レにも上る。
負債総額はラテンアメリカ史上では最大額の112億レ。同法が適用されれば、OGX社は60日以内に債権者に再建計画を提出する必要があるが、具体的には二つの方法で再建を図るという。一つは今年中に最低でも7500万ドルに相当する金額を調達すること、もう一つはマレーシアの国営企業ペトロナスによるトゥバロン・マルテロの一部の購入契約を保持することだ。しかし、いずれも達成は困難だとみられている。
トゥバロン・アズルは今年7月、採算が取れないという理由で同油田の開発打ち切りが発表された。ほかにもトゥバロン・ティグレ、トゥバロン・ガト、トゥバロン・アレイアなど他の油田開発における損失額は計36億レになる。
今後は実質トゥバロン・マルテロに最後の望みをかける。2010年10月には23レアル超を記録した同社株価だったが、更正法申請手続きに入ったことを発表した直後の先月31日時点で、わずか17センターボに終わり、市場からの評価は厳しいものとなっている。
更生法申請手続きに入ったことはエイケ氏の王国の〃完全崩壊〃を意味する。この話題は国際的にも反響を呼んでおり、30日付の米国大手2紙ではトップニュースとして扱われ、同日付英フィナンシャル・タイムス紙では「大富豪エイケ・バチスタ氏の転落劇は最終段階に入った」と報じている。