ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ペトロブラスが新段階に=ガソリン値上げで収益改善=今後は岩塩層下に投資集中

ペトロブラスが新段階に=ガソリン値上げで収益改善=今後は岩塩層下に投資集中

ニッケイ新聞 2013年11月5日

 数年来、ジウマ政権の政策によりガソリン価格を凍結させられてきたペトロブラスは先月30日、大統領からようやく年数度の値上げを認められ、新しい段階に入ったと同日付G1サイト、2日付エスタード紙などが報じた。
 インフレ上昇圧力が高まっていたが、現政権は政策的にガソリン価格を安値に抑えてきた。産業拡大と共に燃料需要が拡大したが、設備投資にまわす資金的な余裕がない同公社は生産量を増加できず、多くを高い輸入燃料に依存していた状態だった。その間、シリアなどの中東情勢の悪化で原油価格は高騰したが、ガソリン価格を抑えられていたため、差損を吸収しながら収益を悪化させていた。いわば、現政権はインフレ抑止の犠牲を一身に背負わせていた形だ。
 しかし、リブラ油田入札が無事終り、「資源バブル崩壊か」と先進国メディアに騒がれていたOGXが会社更生法申請によって一段落したこともあって、今まで忍耐強く我慢し続けてきた同公社グラッサ・フォスター総裁の再三の値上げ要請に、ようやく応えることになった。
 このガソリン価格調整モデルが、実際にいつから実行されるのかは明らかではないが、政府の代表者も含むペトロブラスの評議員会は、今月22日まで期限を要請し、理事会が提出したモデルについて評価するとした。
 大統領補佐官の一人が同紙に明かしたところによれば、石油と関連製品の価格を「年に2、3度」調整する許可を出し、それを市場の〃予測可能性〃範囲にするというものだ。
 ただし、政府内では意見の相違が起きている。先週、フォスター総裁はこの価格調整モデルを発表したが、ギド・マンテガ財務相はこれに対し「急ぐべきではない」として反対の立場を示していた。インフレ抑止が最優先命題である財務相にすれば、もうしばらく持ちこたえてほしいというのが本音のようだ。
 しかし、フォスター総裁側にすれば、リブラ油田開発方法が分担方式であることから、ペトロブラス自体も最初から莫大な自己資金を必要とし、プラットフォームや各種精製設備などの投資も今後、数年間に集中して必要になるため、これ以上、体質を悪化させることはできないのが実情だ。
 最近の株式市場動向からも、明らかに同社の収益悪化を見通した圧力がかかっており、体質改善を急がないと更なる株価低下を呼びかねない状況にまできている、との声も出ていた。
 フォスター総裁は同時に、「今後は岩塩層下油田開発に投資を集中させる」と同紙に語っている。2012年に総裁就任した時に、23カ国にあった支社を17カ国まで減らして負担を軽減してきたが、2014年までには外国にある子会社38社を閉鎖する方針と公表している。