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マルフ=14年選挙出馬は可能か?=5年の政治活動停止判決だが=Fリンパ法適用免れる=最終判断は選挙裁判所か

ニッケイ新聞 2013年11月6日

 サンパウロ市の大物政治家パウロ・マルフ下院議員(82、進歩党・PP)がサンパウロ市市長時代(1993〜96年)に行なった大規模トンネル建設の際に、建築業者に水増し請求をさせてその差額を詐取・蓄財していた容疑により、サンパウロ州地方裁判所は4日、多額の罰金と5年間の政治活動禁止を言い渡した。同氏は来年の選挙に立候補すべく上告の構えでいる。5日付伯字紙が報じている。

 パウロ・マルフ氏はサンパウロ市市長(69〜71、93〜96年)、サンパウロ州知事(79〜82年)、サンパウロ州選出の連邦下議(83〜86、2007〜)を歴任したサンパウロ州を代表する大物政治家で、マルジナル・ド・チエテやコスタ・エ・シウヴァ高架橋などサンパウロ市の主要道建設の業績で知られている。
 しかし同時に数々の汚職容疑でも知られ、ニューヨークに作った秘密口座での収賄容疑で、国際刑事警察機構(ICPO)のウェブサイトの「Wanted」(指名手配)のページで名前を検索すると、現在も写真入りで出てくる。
 今回の裁判は、マルフ氏の第2次市政中、最大の事業であったアイルトン・セナ・トンネルの建設をめぐって、9600万レアルを水増し請求させて受け取っていた容疑だ。同トンネルの建設総額は2億2千万レアルであり、実に半額近い。
 マルフ氏の右腕的存在で当時の市都市化公社(Emurb)社長だったレイナウド・デ・バロス氏(故人)と、建築会社のコンストラン社とCBPO社とが交わした契約で、水増し請求させていた。マルフ氏は2000年に告発を受け、09年にサンパウロ州地裁は1470万レアルをサンパウロ市に返還するよう言い渡していた。
 その控訴裁判となった4日、サンパウロ州第10裁判所はマルフ氏、バロス氏を含む当時の同公社の計4人、建設会社2社に対し、合計4230万レアルの罰金支払いを命じた。さらにマルフ氏には5年間の政治活動の禁止を言い渡した。3判事の全員一致での判決だった。これを受け、マルフ氏は州高等裁判所に上告することを発表した。
 今回の判決により注目されるのは、14年の選挙でマルフ氏の出馬が可能か否かだが、伯字紙によると14年の選挙への立候補は不可能ではないと見ている。
 上告審に持ち込めることに加え、今回の判決は、犯罪歴のある議員に8年間の立候補禁止を規定する「フィッシャ・リンパ法」に抵触しない。4日の判決文で、テレーザ・ラモス・マルケス判事はマルフ氏の罪状に「悪意のあるものではない」との判断を下した。フィッシャ・リンパ法の不当金銭授受の犯罪では、悪意性が認められない場合、適用されないことになっている。
 これに対しロベルト・リヴィアヌ検事は「悪意のない不正などあるものか」として、マルケス判事の決定に対し上告する意向を持っている。
 ただし、マルフ氏が出馬を希望した際、政敵などが選挙裁判所に今回の裁判の件に基づいて訴えを起こした場合、同氏は選挙裁判所の判断を仰ぐ必要性がある。