ニッケイ新聞 2013年11月7日
【既報関連】10月30日にサンパウロ市財政局元副局長や税務調査官(フィスカル)ら4人が逮捕されて始まったサンパウロ市役所の汚職スキャンダルに関し、容疑者の恋人の証言などから、さらなる疑惑の人物が浮上してきている。サンパウロ市監督局(CGM)から連邦検察庁にすでに容疑者リストが送付されており、新たに市役所の4局にまたがる42人の職員にも容疑が広がっており、その関連も捜査することになった。2〜6日付伯字紙が報じている。
フェルナンド・ハダジ市長の足元、労働者党(PT)にも思わぬ火の手が広がってきた。エスタード紙3日付けによれば、サンパウロ州検察局の盗聴捜査により、自分達に疑いがかかっていると知った4容疑者が、アントニオ・トナト、パウロ・フィオリロ両市議(共にPT)に助けを求めようとしていたことが分かった。
ドナト市議は昨年4月の時点で、ハダジ氏の市長選コーディネーターに選ばれたほど、党要人で市長に近い人物だ。
加えて、元サンパウロ市財政局員のルイス・アレッシャンドレ・マガリャンエス容疑者の元同僚で恋人のヴァネッサ・カロリネ・アルカンタラさんはサンパウロ州検察局の取調べに対し、同容疑者がアントニオ・ドナト市会議員(PT)の2008年の選挙キャンペーン時に20万レアルを支払っていたと証言した。
だが、このヴァネッサさんの証言に関して、ハダジ市長は「信憑性はない」としている。
ヴァネッサさんは収賄手法を知っていたが、マガリャンエス容疑者から毎月700レアルの生活費をもらうことで言わずにいた。だが、関係の悪化した7月初旬にヴァネッサさんは「市長をはじめ関係者に事件をばらす」とマガリャンエス容疑者を電話で脅していたことが盗聴されてもいた。マガリャンエス容疑者は700万レアル以上の資産を持っていると推定されるが、彼女は月3千レアルの口止め料で手を打つという提案もしていたようだ。
サンパウロ市役所汚職疑惑の容疑者が一気に拡大している。ハダジ市長も記者会見の中で、「市職員は15万人もいる。悪事に手を染めたのはごく一部」としつつも、環境局、住居局、地区役所局、労働局の職員などにも容疑が広がっていることを公表した。
すでに42人の名前が挙がり、連邦検察局が捜査に乗り出すようだ。その中にはすでに逮捕済みの、ISS収賄の考案者ではないかと疑われている市税務調査官アミウカル・ジョゼ・カンサド・レモス氏の名前もあがっている。その他、市役所は、事件当時(2007〜11年)に財政局の局員をしていたファビオ・カマルゴ・レメッソサンパウロ市社会開発局長の降格を発表した。
この事件はサンパウロ市職員4人による犯罪グループが建設会社を相手取り、建設許可証の取得に必要なサービス税(ISS)を大幅に下げる代わりに、賄賂を払わせる手口で計5億レアル以上の収賄を行なっていたとされる。