ニッケイ新聞 2013年11月7日
米国に本部を置く世界最大手のスーパーマーケットチェーン「ウォルマート」は、ブラジルと中国の店舗を今年中にそれぞれ最大25店舗まで閉鎖すると、先月発表したばかりだ。ところが現地法人ウォルマート・ブラジルのギリェルメ・ロウレイロ新社長は、5日行われた持続可能性に関するイベントでエスタード紙の取材に対し、「ブラジル市場への戦略は〃野心的なもの〃だ」と語った。6日付同紙が報じた。
「ブラジルで成長し、(小売業界の)リーダーになることを目指したい」と語るロウレイロ社長は就任して若干2カ月余りだが、ブラジル支社における経営戦略を打ち立てるのに、本社から100日の期限を与えられたという。
ところが本社へ経営計画を提示する前に、この25店舗閉鎖、それに伴い従業員1500人の解雇という命令が本部から出たが、同社長によれば、既に大部分の店舗は〃大きな混乱無く〃閉鎖しているという。ただ、この閉鎖は「社内の従業員を有効活用できる」ということであり、「この〃後退〃は同社がブラジルで一段と、より速く成長するためには必要なステップ」だとみる。
ウォルマートは1995年に当地進出を果たしているが、小売業で傑出した存在にまで成長したとは言えない状態だ。進出後まもない時期はコストとしてかかった金額よりも安い値段で商品を売ることで業者から反発を買ったり、ゴルフクラブなど当地の市場には見合わないような商品が棚に並んでいたりした。
それらの経験から同社は地元小売店の買収によってではなく、あくまで自社店舗を経営する方法でしか成長できないとの方針を改めた。
しかしこの方法は成功をみず、数年を経て結局ウォルマートは〃現地化〃した。国中の地元小売店を買収し、当地の業界人をヘッドハンティングもした。
今年の第一、第二四半期はといえば、競合他社に比べ低速気味だった同社。1〜3月、総売上高は昨年同期比5・5%増だった一方、ポン・デ・アスーカルは、第1四半期の食品だけの総収益が昨年同期比10・6%増、カルフールは第一四半期の総収益は昨年同期比13・3%をそれぞれ記録した。
ただ、ブラジル国内では3位の業績を誇る。昨年、同社はブラジルスーパーマーケット協会(Abras)のランキングで、259億レの売上で3位に付け、首位はポン・デ・アスーカルで572億レ、2位はカルフールで314億レだった。
「我々はブラジル3位の小売業者。これからリーダーになるには長い道のりがある」とロウレイロ社長は語り、長期的視野で戦略的に取り組む意向を見せた。