ニッケイ新聞 2013年11月15日
インフレ制御を目的としたガソリン価格への補助金支給の政策で、エタノール燃料の消費量が激減した。ペトロブラス社の調べによれば、今年、フレックス燃料車を所有するブラジル人のうち、エタノールを燃料として利用した人は23%にとどまっており、その割合が66%だった2009年に比べ激減したという。
サトウキビ加工業者連合(Unica)ディレクターのアントニオ・デ・パドゥア氏は「政府がガソリン価格をコントロールする政策は、エタノール燃料業界の競争力を失わせた。エタノールとは反対に、ガソリンは国際市場の価格の動向に連動していないからだ」と話す。
特にエタノールやサトウキビの派生製品などの再生可能なエネルギーに関する主要な国際イベントのひとつで、6月に行われた「エタノール・サミット2013」で、Unicaのエリザベッテ・ファリナ会長は「エタノール燃料産業は昨年8%伸びた。でも2020年までに50%成長させたい」と発表した。そのためには、現状の生産量を2倍にし、新たに100の工場を稼動させる必要があるという。
「個人所有の車やガソリンにインセンティブを与えるのはもうやめて、環境保護やより良い生活を保証するためにも、今後は公共交通機関や持続可能な燃料への投資を進めるべき」としている。
「バイオ燃料の競争力が高まるかどうかは、政府のガソリン価格に関する政策に依存する」とブラジル・インフラセンターのアドリアノ・ピレス氏は述べており、「政府は今年また投資を始めたが、不十分だった。長期的な投資が必要」と指摘する。
ペトロブラス社が新たに価格調整を行えば状況は変わる可能性があり、11月22日の経営審議会で議題となる予定だ。
エタノール燃料業界の危機は、ここ2年間で開設されたエタノール工場は二つのみで、57が閉鎖されていることからも明らかだ。(14日付エスタード紙、6月27日付G1サイトより)