ニッケイ新聞 2013年11月19日
1972年にサンパウロ市東部の小さな文房具屋として創業したカルンガが、戦略変更などを重ね、今年の売上は10年前の3倍以上の15億レアルに達すると予想される大企業に成長した。
カルンガの店に足を運んだ事がなくても、サッカーの試合などで、コリンチャンスのユニフォームに書かれたKa Lungaの文字を見た事がある人は沢山いる。実はこれも、一時はブーイングの対象にもなったカルンガの戦略の一つだ。
創業者のダミアン・ガルシア氏の後を継ぎ、1990年代の終わりに、不動産業に目を向けていた他の兄弟の持ち株を買い取ったのは、パウロ・ガルシア、ロベルト・ガルシアの2人。実務担当はロベルト氏で、マーケティングをパウロ氏が担当。1980年代にサッカーチームのコリンチャンスのユニフォームに社名を入れたのは、同チームのファンのパウロ氏の発案で、当初は多くの顧客からクレームも出た。
だが、これによって全国的に社名が知られるようになり、サンパウロ市東部で産声を上げた会社は、サンパウロ州内陸部やリオ州などに販売網を拡張。今や、8州と連邦直轄区で商売を展開するまでに発展した。2013年から14年にかけては40店舗を新たに開業する予定で、14年末までに全国140店舗という計画実現に向けて着実に歩んでいる。
もちろん、最初は小さな文房具屋だった同社が拡張するためには、コリンチャンスの後援者としてのユニフォームへの社名記載以外の戦略変更が行われている。
その一つは、1996年までは卸専門だった同社が、小売に視点を転じた事だ。それからの10年間は販売網の近代化、ショッピングセンター内やサンパウロ市以外の町への店舗開設、インターネット販売開始等、様々な戦略が導入された。
このような努力によって、借金を作る事もなく急速な発展を遂げた同社は、社外の人々が共同経営に加わる事は「他人に命令される側に回る事」として、外国企業の食指に踊らされる事もなく着実に地盤を拡大。事務用品を扱う会社で同社の右に出る会社はないといわれるまでに成長した。
成長する企業の株を購入するプライヴェート・エクィティと呼ばれる基金が最も注目する株式会社の一つでもあるカルンガの特徴は、鉛筆や消しゴム、セロテープ、紙類といったマージンが小さい商品を扱いながら大きな収益を上げ、負債もつくらず拡張している事。この特徴は、小さな文房具屋や雑貨店ばかりだった業界を取り仕切るまでに成長し、他を寄せ付けない販売量を誇る同社ならではのものだ。ガルシア兄弟は外からの共同経営者を入れる事は考えておらず、兄弟が外部の人が加わる事を認めた時は、時価10〜12億レアルとなったカルンガを手放す事を意味しているとさえ言われている。(18日付エスタード紙より)