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ブラジルに貿易孤立化の危機=米とEUの自由化進展で=メルコスルの交渉急務に

ニッケイ新聞 2013年11月20日

 1995年に始まった南米南部共同市場(メルコスル)と欧州同盟(EU)との間の自由貿易交渉がなかなか進展しない中、ブラジルにとってメルコスルとEUの交渉の取りまとめは急務との見解が明らかにされた。
 18日付G1サイトによると、BBCのインタビューに答えたアナリスト達が、米国とEUの間の貿易自由化交渉がまとまれば、大きな経済域と自由化協定を結んでいないブラジルは孤立し、両経済域との貿易の規模縮小を余儀なくされるという。
 米国とEUの貿易自由化は、景気回復が遅れているEUにとっては起死回生をかけた方策の一つだ。EU内では、95年以降、交渉が手間取っているメルコスルより、協定締結がスムーズと見られる日本や台湾、米国を優先すべきとの見方も広がっているという。
 米国とEUの貿易が自由化されれば、世界中の国内総生産(GDP)の49%、交易額の31%を占める巨大市場が誕生する。二つの巨大経済域における貿易自由化がブラジルに与える影響は、関税撤廃だけの合意で終わるか、すべての産品についての技術的な規定や衛生管理の基準の統一まで含むかによって異なる。
 両者の合意は、関税撤廃や手続きの簡便化による流通量増加や、それに伴う国内産業の活性化と雇用創出などの経済効果を生む。また、両経済域がそれ以外の国や地域と交易を進める際も合意内容が適用されるため、国際的な貿易活性化も促進される。更に、両経済域間で取引される産品の価格が下がれば、ブラジル国内で取引される品物の価格低下も考えられる。
 ただ、米国やEUとの自由化協定を結んでおらず、税制面で国内外からの苦情も多いブラジルにとっては、両経済域が貿易自由化で合意すれば、損失の方が大きいという。具体的な数字としては、ブラジルからの輸出は、技術面や衛生管理の規約や基準の統一も含む合意なら、米国向けで29・7%、EU向けで9・4%、関税撤廃だけの場合も、米国向けで2・24%、EU向けで3・71%減る見込みだという。
 アナリスト達がこのような状況を回避するために必要と指摘するのが、メルコスルとEUの貿易自由化の合意成立だ。メルコスルとEUは来年1月に再交渉の予定で、14日付エスタード紙によれば、メルコスル内の調整のための会議は今月22日にカラカスで開催される。メルコスル加盟国による自由化対象品のリストは12月までに調整を終える予定で、ブラジルやウルグアイ、パラグアイは自国内のリストを作成済み。国内の調整が遅れていたアルゼンチンは13日、ブラジル政府代表との2時間に及ぶ交渉後、1カ月前に民間部門からの意見をまとめ終えた段階である事を明らかにしたという。