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ニッケイ新聞 2013年11月20日

 色の魔術師、大竹富江さんが描く画布は、アマゾンの鳥のように鮮やかだが、自分の衣装はいつも黒一色。文化大臣から勲章をもらう受賞式という晴れの舞台でも、やっぱり黒一色…。「何かこだわりがあるのか」と思い尋ねてみると、「ずっと仕事で色のことばっかり考えているから、自分の服の色まで考えたくない」とのことだった。自分の身体でなく、作品こそが富江さんそのもの——ということか。それだけ仕事に情熱をささげてきた証かも。
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 大阪なにわ会の恒例座談会は、同会の府費留学生・研修生のOB・OGらが作る「医療関係専門家グループ」が実施するが、これを開催することになった背景の一つに、同制度の廃止があるという。太田房江時代の2000年に留学生、02年には研修生制度が打ち切りとなった。00年には府からなにわ会への援助も無くなったという。留学生制度の存在意義を証明する意味でも、この健康講演会は貴重な催しだ。多くの県人会で同様の悩みを抱えている。留学生・研修生継続を訴えるような県人会行事が、もっとあってもいいのでは。
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 静岡文化芸術大学(静岡県浜松市)の日系人学生らが16日から、市内の小学校に通うブラジル人の世帯訪問を行っている。同じ境遇に育ちながら大学進学を果たした学生が実体験を伝えることで、親や子供の学習や高等教育への動機を高めるのが狙い。16日付け静岡新聞ウェブ版が報じた。希望のあった市内43世帯を巡り、学校生活について説明したり、保護者からの質問に答えたりする。奨学金を利用して金銭的な壁を乗り越えたという3年の岡崎ケンジさん(20)は、「自分の存在を説得力にして、いろいろな道があることを伝えたい」と話しているとか。在日ブラジル人が後進を指導するという〃正の連鎖〃のきっかけになり得るだけに、非常に意義のある活動だ。