ニッケイ新聞 2013年11月22日
写真=留安山トメアスー本願寺で記念撮影
【パラー州ベレン発=下小薗昭仁通信員】戦後アマゾン日本移民60周年およびアマゾン日本移民84周年を記念し、ベレンとトメアスーの両市で「開拓先亡者追悼法要」が執り行われた。ベレンでは13日に汎アマゾニア日伯協会が、トメアスーでは15日に同文化協会が主催した。12日から5日間、巡回法要と布教をかねて北伯を初訪問していたブラジル仏教連合会(松峯慈晄総長・輪番)の8人の僧侶が両法要に出席したことで、例年にない参加者を迎えた厳かな厳修となった。
アマゾニア日伯協会神内講堂で開かれた法要で、松峯総長は「本年は日本移民105周年の記念すべき年。この長い期間、多くの移民の方々は、読経の一声も聞くことなく、ブラジルの大地に埋葬されている。いま私達にできることは、故人の遺徳を讃迎し顕彰すること」と厳かに挨拶した。
仏連から訪れたのは、浄土真宗の西・東本願寺、浄土宗、曹洞禅宗、日蓮宗、真言宗、本門佛立宗の7宗派8人の僧侶。大人数の僧侶による荘厳な読経は、参加した人々に感動を与えた。
続いて一行は、アマゾニア日伯援護協会が運営するベレン市近郊アナニンデウア市の厚生ホームを訪問。敷地内に建立されているアマゾン開拓先亡者慰霊碑を参拝し、ホームの入居者と交流を行った。日蓮宗の石本豊子さんは、腹話術で人形に挨拶させたり童謡を歌わせたりし、入居者を喜ばせていた。
15日は、留安山トメアスー本願寺で法要が執り行われた。雅楽の越天楽(えてんらく)に歩調を合わせて入場した子どもたちによる献灯と献花の後、7人の僧侶がしめやかに入場。
導師の表白文朗読に続き、各宗派代表による焼香が行われ、文協会長や総領事による追悼の辞と焼香、各僧による読経の後、松峯総長による法話で法要が締めくくられた。
参加者全員と記念撮影後、トメアスー文協で記念式典と記念祝賀会が開催されたほか、青年を招いて仏教とは何かを話し合う会も持たれた。
16日早朝、僧侶一行は開拓先亡者墓地に参拝した後、「これを機会に、折に触れて御仏を思い出していただければ幸甚です」との言葉を残し、サンパウロに旅立った。