ニッケイ新聞 2013年11月23日
サンパウロ州障害者の権利保護局主催の第5回インクルージョン・モード・コンクールの優秀作品20点が、19日にブラジル彫刻美術館で公表された。
インクルージョン・モード・コンクールは、様々な障害を持つ人が一般社会に溶け込み、快適な生活を送ることが出来るよう工夫を凝らした衣服の国際コンクールだ。コンクールの目的は、各人の必要に即して入手しやすい衣服に対する論議を促し、障害を持つ人々の着用する衣類に新しい解決や提案をもたらす事で、応募作品は国内外から寄せられる。
優秀作品の発表は、第2回インクルージョン・モードと持続性に関する国際フォーラム開催後に開かれ、358点の応募作品の中から選ばれた優秀作品20点が紹介された。優秀作品制作者(デザイナーや工房)の所在地はサンパウロ、リオデジャネイロ、エスピリトサント、サンタカタリーナ、リオ・グランデ・ド・スル、アマゾナスの各州ならびに連邦直轄区と多彩で、インドからの作品もあった。
20点の中に選ばれた作品の一つで「インクルージョン・モードの裏面」と題するジーンズのズボンは、サンパウロ州ソロカバで14年間活動する理学療法士のダリエニ・ロドリゲスさんと、型紙作りと縫製担当のナジール・デ・アルメイダ・ナシメントさんが協力して制作した。
堅牢染めで綿100%の高級デニムを使い、外観や洗濯への耐久性を追及した作品は、車椅子を使う多機能型障害者を対象とし、義足を使っている人々にも使いやすいよう工夫されたもので、紙オムツの交換が楽なよう、ウエスト部分にゴムを使用。そけい部前面にはカテーテル検査などの時にも楽に開閉できるよう、マジックテープを使った扉のような部分を配し、サイドにも着脱しやすいようマジックテープを使用。右脚の側面裏側下部には採尿袋などを入れるための内ポケットがあり、左脚大腿部の前面には小物などを入れる外ポケット装着といった工夫が凝らされている。
ダリエニさんとナジールさんの共同開発商品は子供用から大人用まで様々な種類の品があり、通信販売も実施。希望者はhttp://www.ladobmodainclusiva.com.brで購入出来る。
身体障害や視覚障害など、何からの障害を持つ人はサンパウロ州だけで900万人おり、ブラジル国内では4500万人に上る。これらの人々の必要に応える様な商品の開発は今後も取り組みが必要な大切な分野だ。(19日付G1サイトなどより)