ニッケイ新聞 2013年11月27日
写真=アドニランのシルエットが写る歩行者用信号
「11時の列車(Trem das Onze)」などの曲で知られる作曲家で歌手のアドニラン・バルボーザ(1910〜1982)の顔をかたどった歩行者用信号が、サンパウロ市内にお目見えして、話題を呼んでいる。
アドニランは1895年にブラジルに着いたイタリア移民の子供で、本名はジョアン・ルビナット。勉強が嫌いで学校を中退後、7人の兄弟がいる家庭を助けるために働きながら、ヴァリーニョス、ジュンジアイ、サントアンドレを経てサンパウロにやってきた。
サンパウロでは、俳優やラジオのアナウンサーなどの道も模索したが、歌手として芽を出した後に作曲家としてデビューした。彼が作った曲の中にはサンパウロの町の情景なども盛り込まれており、サンパウロのサンバを形作った重要人物としても知られている。
そんな重鎮を顕彰するため、サンパウロの交通技術公社(CET)が22日、イタリア移民の多い中央部のベシーガ区に設置したのが、帽子をかぶったアドニランのシルエット入りの歩行者用信号だ。同種の信号は、ルイ・バルボーザ街(コンセリェーリョ・カロン街との交差点とマノエル・ヅットラとの交差点)など、同氏の曲と所縁のある場所18カ所に設置されている。
シルエット入りの信号第1号は、6月に設置されたイビラプエラ公園脇のバンデイラスのモニュメント前で、サンパウロ美術館(MASP)や市立劇場、コパンビル、サンベント修道院、バネスパのアウチノ・アランテスビル、パティオ・ド・コレジオ、ラテン・アメリカ記念館、パカエンブ・スタジアム、市営市場、オクタビオ・フリアス・デ・オリベイラ橋周辺、リベルダーデ地区にも設置済みだ。
CETは、アドニランのシルエット入りの信号は、サンパウロの観光地である事を知らせると共に、町の歴史を偲ばせるものとして、試験的に設置したという。(26日付エスタード紙より)