ニッケイ新聞 2013年11月29日
立教大学文学部の丸山浩明教授(53、長野)が編著した『世界地誌シリーズ(6)ブラジル』(朝倉書店、3570円)が10月に日本で出版された。ブラジルを広く深く理解するための地誌学テキストで、地理学的な視点を駆使して解説しており、日本語で読めるブラジルの総合的な学術書として、貴重なものとなっている。
全11章から構成され、当地を特徴づける重要なテーマごとに、先住民、植民、デカセギ日系人など歴史的背景を踏まえつつ諸事象の詳細な動態分析がされている。
丸山氏は「急速な変貌を遂げる今日のブラジルの姿を、多角的・総合的に読み解く、いわば『ブラジル学』の基本テキストとして編まれたもの。自然環境、都市発展、多人種多民族社会、宗教風土、ブラジル音楽、アグリビジネス、観光開発、日本移民、デカセギといった多彩な内容は、各分野で活躍する研究者に執筆をお願いした」と話し、読み応えのある内容となっている。
「編著者としては、とくに多様性に満ち溢れたブラジルの魅力と国家的統一性、そして何よりも日本移民を通じて醸成された、日伯両国の深い紐帯の意義と可能性を伝えたい」と熱意を込めて語り、「日本の大学生や社会人はもちろん、ブラジルで生活している企業の方々や、日本に関心をもつ学生・日系人の方々にも、広く関心をもっていただけたらと思う。本書を読み終えたら、コーヒー、サッカー、サンバだけではない、きっとあなただけのブラジルが見つかるはず。まずは、おもしろそうだと思った章からどうぞ」と薦めた。