ニッケイ新聞 2013年11月30日
サンタカタリーナ州ジョインヴィレに自宅を開放して図書館を開設している婦人がいる。
同市在住のマリア・デ・ファッチマさんは、8歳の時から10年間、路上生活を余儀なくされ、思うように本を読んだり勉強したりする事が出来なかった。その辛さがファッチマさんの胸の中に、子供達が本に親しめるような図書館を作りたいという夢を呼び起こした。
ある日、同じ路上生活者に、子供達を路上生活から救い出したいという願いを語った時、相手から返って来たのは、「一人の子供を教育する事はその国民を救う事だ」という言葉だった。その言葉は今でも心に残っており、それが、コマルカ地区の自宅に図書館を開設する力となった。
ファッチマさん自身は今も読み書きが不十分だが、多くの人から寄贈された本などを集めて、自宅に無料の図書館を開設した。最もよく利用するのは子供達で、その中の一人は「面白いし創造的! みんなが少しずつ新しい事を覚えていくのさ。(ファッチマさんは)世界一すばらしいおばあちゃんだよ」と笑顔で語る。
ファッチマさんは、小さな姿勢が大きな差を生むという信念を込め、自宅を開放して図書館を開設するというプロジェクトに「ベイジャ・フロール(ハチドリ)」という名前をつけた。この名前を選んだ理由は、ある火災現場で、水のある所まで飛んで行ってはわずかばかりの水を口に含み、何度も何度も行き来するハチドリが居るのを見たライオンが、「そんな事をしたって役に立つものか」と言ったところ、ハチドリが「私は私が出来る事をしているけど、あんたは何かをやったのかい?」と問い返したという民話から来ている。(27日付G1サイトより)