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不法ハイチ移民が急増=政府は例外的にビザ発行=よりよい仕事求めブラジルへ

ニッケイ新聞 2013年10月2日

 北部アクレ州からブラジルに不法入国しているハイチ人の数が、今年に入って激増している。今年1月から9月初めの間、同州ブラジレイア市の連邦警察に登録されたハイチ人の数は6千人にも上っており、「今年になって数は増えてきている。毎日50人くらいが警察署の前にいる状態」と警察関係者は漏らす。
 2010年1月に30万人の死者を出し、国土の大部分を破壊した大地震が起きて以降、渡航者は増えつつあったが、2012年には年間2318人のハイチ人がブラジルにビザなしで入国。今年の場合、彼らを受け入れる同市の避難所には9月25日までに少なくとも7200人の名前が登録され、2010年から数えると1万800人にもなる。
 同市警察に登録されたハイチ人の数は2010年は37人だったのが、2011年は982人と急激に増えた。今年4月だけで、ビザ申請数は1771件にも上った。
 アクレ州のティアン・ヴィアナ知事は、この状況に危機感を示し「緊急事態」を発令し、今年初めには軍隊のタスクフォースが組織され、不法入国者を一刻も早くブラジレイアの外に出すため、コントロールをするよう指示する事態となっている。
 バスでブラジレイアに到着する不法移民はまず連邦警察に行って保護を求め、自国の言葉で書類に記入し、面接を受ける。保護請求書と呼ばれる仮の書類が発行されると、医療や教育などブラジル人と同等の権利が与えられ、労働手帳やパスポート、CPFも取得できる。警察での登録の後、書類は国家難民委員会(Conore)、国家移民審議会(Cnig)へ送られ、5年以内の定住許可を与えるかどうかが審議される。
 Cnigによれば、昨年に人道的性質のビザを受け取ったハイチ人は4682人。今年の6月までには既に870人が受け取り、日々手続きが行われている。
 ブラジルの法律では、ハイチ人は難民とはみなされていない。難民は人種、宗教、国籍、社会集団、政治的意見などが理由で迫害を受けていることを証明できる人と定められているが、ハイチ人の場合は数があまりに多いため、政府も例外措置を取り、他の不法入国者とは異なる扱いをしているのが現実だ。
 不法入国のハイチ人は、その多くが首都のポート・プランスから来る。バスでドミニカ共和国のサント・ドミンゴまで行き、そこで航空券を買ってパナマまで飛ぶ。パナマからは飛行機かバスでエクアドルのキトまで行く。その後は陸路の移動でペルー入りし、国境を越えてブラジレイアにたどり着く。
 このルートで来た42歳のあるハイチ人男性は、妻と4人の息子、母、姉妹を残して9月9日に出発、10日かけてアクレ州に到着した。現在は州政府が運営するブラジレイアの避難所で750人の同郷人とともに暮らす。「(ハイチの状況は)前ほどは悪くはなく、まあまあ。ドミニカが投資をして道路を建設していて仕事はあるけど、仕事がない人もたくさんいる」と自国の状況を説明する。
 建設作業員として働いていたが、よりよい仕事を求めてブラジルへ来た。ブラジルに着くためにはペルーの数都市を通過しなければならないため、母国からは〃渡らせ屋〃に支払う500ドルを持ち出したという。だがボルジェス氏によればこの値段はまだ安いほうで、「1千ドル払う移民もいる」とも。
 米国CIAによれば、ハイチの国民一人当たりの一日の収入は3・6レアルで、アメリカ大陸における最貧国の一つに位置づけられている。(9月30日付G1サイトより)