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カズーザのミュージカル上演=エイズで急逝の伝説のロックスター

ニッケイ新聞 2013年10月4日

 4日からリオのコパカバーナにあるネット・リオ劇場で、ブラジルが生んだ最大のロックスターの一人、カズーザのミュージカル「カズーザ〜幸せが生まれる日に」がスタートする。
 カズーザは、80年代のブラジル音楽を語る際に不可欠な存在だ。1985年10月には、彼がヴォーカルをつとめたバンド、バラオン・ヴェルメーリョが、伝説となった第1回目の「ロック・イン・リオ」にブラジルからの代表の一人として参加した。
 このステージでの成功で、彼は一躍、全国的に注目される存在となった。さらに甘いマスクと作詞家としての才能も高く評価されたことで、カズーザはこの時代最高のロックスターの一人として熱い視線を浴びた。
 カズーザは翌86年にソロ歌手に転じ、活動をはじめた。ソロでも幸先良く大ヒットを出していたが、その直後、カズーザはエイズを発症したとの診断を受ける。当時世界的に話題になりはじめていたエイズに、当時のブラジル音楽界で最も上り調子にあった人気者が罹患したという話題はブラジルを震撼させた。
 だが、カズーザはこれ以後も毎年のように作品を発表、弱った体を押してコンサート活動も休まなかった。体は衰弱し、ほぼ骨と皮のようになった顔がテレビや雑誌に映されることも多かった。そして90年7月3日、カズーザは32歳の若さでこの世を去った。
 そんなカズーザの人生に対しては、これまでも様々なオメナージェン(トリビュート)がなされており、2004年に公開された伝記映画「カズーザ」は大成功を収めている。
 また、2013年は、カズーザ自身の生誕55周年を記念した行事が目白押しだ。9月に行なわれたロック・イン・リオでは、初日のオープニングでカズーザに捧げるショーが行なわれた。
 さらにこの10月には、カズーザの地元リオで伝記ミュージカルが上演される。演出を手がけるのは、70年代に一世を風靡した伝説の黒人歌手チン・マイアの伝記ミュージカル「チン・マイア〜ヴァーレ・トゥード」を手がけたジョアン・フォンセッカだ。「カズーザの話をするということは、私の世代の話をするというのと同義だ」とジョアンはその意気込みを語る。
 2時間30分に渡るミュージカルではカズーザの一生が包み隠さず語られ、薬物中毒で同性愛者だったこと、そして晩年のエイズとの壮絶な闘病も描かれている。「彼はエイズとの闘いを公にしたブラジルで最初の有名人。避けて通るわけにはいかない」とジョアンは語っている。
 「エザジェラード」「イデオロージア」といったカズーザ最大の代表曲は、山場となる場面で演奏されるという。