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先住民らが抗議行動展開=ブラジリアやサンパウロ市で=保護区制定権はどこに=Funaiの処遇も追及

ニッケイ新聞 2013年10月4日

 先住民保護区制定権を連邦議会に移すという憲法補足法案(PEC)215号や、国立インジオ保護財団(Funai)の権限を狭めようとする動きに反対する先住民らが、ブラジリアやサンパウロ市で抗議行動を展開してけが人などが出た他、歴史的建造物に損害を与える行動も見られたと3日付け伯字紙が報じた。

 現在の先住民保護区の制定は、Funaiが場所や規模を決めて大統領府が承認、宣言するという形をとっているが、先住民達の中で、先住民保護区の制定の遅れやFunaiの権限を狭めようとする動き、さらには、保護区制定を連邦議会が行おうとする動きがある事で、先住民達の不満や不安が募っている。
 具体的な表れの一つは、1日から始まったブラジリアでの抗議行動や2日にサンパウロ市で行われた落書きなどだ。
 ブラジリアでの抗議行動は、全国各地からの先住民達が連邦議会前に集まってキャンプを張った上、議会内に入り込もうとしたり、連邦議員の車を止めて交渉に応じろと持ちかけたりという形で行われた。
 下院に通じる別の建物の入り口から下院内に侵入しようという動きは警備の軍警がマスタード・ガスを使って食い止めたが、先住民らがガラスの扉を壊して入ろうとしたため、先住民と警備員各1人がけがをした。警備員は軽傷で済んだが、先住民は複数の傷を負ったため、ブラジリア大学の大学病院に運ばれた。
 議会に通じる道路の封鎖なども行われ、労働者党(PT)のカンジド・ヴァカレッツァ下議の乗る車が包囲された。同下議は来週の火曜日に議員室に来るようにと提案したが先住民達はそれを拒否。先住民達は同下議を「ならず者」「泥棒」となじり、タイヤの空気を抜くなどの暴挙にも出たため、同下議が法務省の建物の中に逃げ込むという場面も見られた。
 下院では議長代行のアンドレ・ヴァルガス下議が先住民達と話し合い、4日に議員団を派遣すると約束したが、シングー族のラオニ酋長は、議会がもっと先住民への敬意を払うよう要請すると共に、保護区制定はFunaiが行い、大統領府が承認する形を継続すべきとも主張した。
 Funaiの権限を狭めようとする動きは、先住民達と保護区に住み着いて農牧業を営む農家との間での抗争事件が続いたりした事で拡大していた。先住民達は既存の保護区見直しの動きにも反発しており、5日まではブラジリアに留まるとの意向を表明している。
 一方、サンパウロ市では2日、イビラプエラ公園の傍にあるバンデイランテスの像が1日の間に2度、落書きなどの被害に遭った。朝一番に起きたのは「PEC215反対」などという落書きで、市役所の依頼を受けた業者が全部消したが、夜になって現れたグループは、像に登り、赤いペンキをかけた上、赤い布やPEC215反対と書かれたポスターを掲げるという抗議行動を行った。