ニッケイ新聞 2013年10月9日
【既報関連】5日に電撃発表された、マリーナ・シウヴァ氏のブラジル民主党(PSB)加入は、ジウマ大統領をはじめとしたPT(労働者党)と、その最大の政敵である民主社会党(PSDB)にも大きな波紋を投げかけている。7〜8日付伯字紙が報じている。
14年大統領選挙に関する世論調査で常に第2位につけていたマリーナ氏は、自身の新党・持続ネットワーク(RS)が政党承認を受けられなかったことで、同世論調査で常に4位の支持を受けているエドゥアルド・カンポス氏が率いるPSBに移籍した。
現時点では「マリーナ氏がカンポス氏の副大統領になる」との見方が強く、それにより世論調査で6月のマニフェスタソン直後にはジウマ大統領に迫る勢いの支持率を見せたマリーナ氏の影響力は落ちたのではないか、と見る向きもある。
だが、ジウマ大統領とPSDB党首で出馬が有力視されているアエシオ・ネーヴェス氏はそうは見ていない。ジウマ大統領は7日、大統領府で行なわれた連立与党の議会リーダーたちとの会合で、マリーナ氏の影響力が弱まったとは見ていないとした上で「マリーナが普通の人だと思ったら大間違い」と同氏を警戒する発言をしたという。
一方、アエシオ氏も8日付フォーリャ紙の取材で、記者からの「マリーナ氏は副大統領候補という説が出ているが、それを信じるか」との質問に「たとえマリーナがそうだと言ったとしても、支持率があれだけ高いのだからあてにならない」との見解を示している。
このマリーナ氏とカンポスの動きにより、PTとPSDBは包囲網を固めるべく、他党との同盟関係の再確認を急ぎ始めている。PT支持派は民主運動党(PSDB)、共和党(PR)、同党から派生した新党の社会秩序共和党(PROS)、ブラジル共産党(PCdoB)がほぼ確実で、ジルベルト・カサビ前サンパウロ市市長が党首をつとめる社会民主党(PSD)も有力視されている。残るは労働相の汚職疑惑で大統領が疑念を抱いている民主労働党(PDT)や、党内にアエシオ氏支持のリーダーが複数いる進歩党(PP)、態度をはっきりさせていないブラジル社会党(PTB)などで、動向が注目される。
PSDBはカルドーゾ政権以来の同盟党である民主党(DEM)と、アエシオ氏の親友パウリーニョ氏が設立した新党の連帯(Solidariedade)は確実視されているが、マリーナ氏を大統領候補に迎えたがっていた社会大衆党(PPS)はPSB支持に流れるのでは、と見られている。
また、PSBがマリーナ氏を迎えたことは知事選にも大きな影響を及ぼしている。数週間前、アエシオ氏とカンポス氏はサンパウロ州を含む10州でPSDBとPSBが同盟を組む約束を交わしたが、大統領選でPSBがカンポス氏もしくはマリーナ氏を立ててアエシオ氏を追い抜く可能性が出てきたことで、PSDB内でPSBとの同盟に難色を示す声がではじめている。