ニッケイ新聞 2013年10月15日
サンパウロ市中心部の代表的な建造物の一つで、15日に落成から75周年を迎えるジュリオ・プレステス駅。駅のプラットホームから60メートルのところに隣接するコンサート会場「サーラ・サンパウロ」はサンパウロ州交響楽団(Osesp)の本部で、その隣にはサンパウロ州文化局の本部がある。歴史を感じさせる荘厳な外観が魅力の建物だが、サンパウロ州文化局が270万レの費用で改修することが決まった。13日付エスタード紙が報じた。
まだプロジェクトの段階で、着工は来年の予定だ。具体的には外装の回復や、電気、水道、電話関係の設備導入、駅構内の景観や各種表示の改良などが決まっている。
ジュリオ・プレステス駅は、〃コーヒー男爵〃と呼ばれる人々が設立したソロカバナ鉄道会社の本部として、1926年に建設が始まり、38年に落成。途中、1929年の世界恐慌で計画の見直しを余儀なくされたため、最終的に建物は当初の想定を下回る規模で完成した。
建物の外郭の老朽化が目立ち始めたのは60〜80年代。90年代初め、市役所が州政府に借金を抱えていたため、州政府の所有となった建物は、数年後の改修でサーラ・サンパウロを擁す、州文化局の本部となった。
サーラ・サンパウロは1997年から99年にかけ、それまでは庭だった場所に建設された。
ジュリオ・プレステス駅は、サーラ・サンパウロが併設されてからも、CPTM(パウリスタ都電公社)の8号線の始発駅として機能し続けており、一日平均で43万人が利用している。しかし、このサーラには特殊な防音機能が施された窓やガラスがあるため、電車の音に邪魔されることはない。
また、サーラ・サンパウロはどんな種類の演奏会にも対応できる特殊な工夫がされている。天井を覆っているのは長さ15・4メートル、幅3・7メートルの15枚の可動性パネルで、演奏される音楽や形態ごとに、音が最もよく響くように天井の高さが変えられる。また、長さ8メートル、176キロに及ぶビロードのカーテンが余分なエコー(反響)を除去してくれる。
コンクリート、ネオプレン、木材の上に張られた床は全部で4重構造となっており、余分な音を吸収。席、ボックス席、空いたスペースなどの配置も全て、音の響きが最もよくなるように考えて設計されたものだ。