ニッケイ新聞 2013年10月16日
サンパウロ州検察は10日、犯罪集団の州都第一コマンド(PCC)の構成員175人を起訴し、既に逮捕されている幹部クラス32人の特別監獄(RDD)行き願いを出している。PCCはアウキミンサンパウロ州知事の殺害や14年W杯での暴力犯罪を画策しているとも言われている。11〜15日付伯字紙が報じている。
検察や軍警、市警などからなる組織犯罪対策特別班(Gaeco)は3年半かけ、PCCに関するかつてない量の情報収集を行った。情報源は押収された何百キロに及ぶ薬物や武器に関する情報や証言者への事情聴取、種々の書類、電話での会話の録音などで、その結果、国外まで及ぶ麻薬犯罪組織としてのPCCの実態をはじめ、州政府要人の殺害命令を出していたこと、組織幹部の釈放をめぐりロビー活動を行っていたこと、さらに政界進出まで企んでいたことなどが判明した。
11日付エスタード紙はGaecoからの情報をもとにPCCの実態を細かく図式化しているが、それによるとPCCの収入は、パラグアイとボリビアから密輸した麻薬売買で月800万レアル、くじで同200万レアルで、年1億2千万レアルの稼ぎがある。
また、PCC構成員はサンパウロ州のみならず全国22州に拡大。サンパウロ州には既に逮捕されている6千人を含む計7800人。PCC一派は、サンパウロ州の刑務所収監者の9割を占めているという。それ以外の州にも合計3582人の構成員がおり、パラナー州の626人、南マット・グロッソ州の558人などが目立っている。
PCCは100丁に及ぶ小銃を武器庫に保有、組織が買った不動産7軒には合計700万レアルを隠し持っている。
PCCの組織系統も明らかにされている。司令本部は、首魁のマルコス・カマッショ(通称マルコーラ)が収容されているサンパウロ州プレジデンテ・ヴェンセスラウの第2刑務所にあり、そこを軸として多くの支部に分かれている。大サンパウロ市圏にはABC地区や海岸部を含む36支部が存在し、さらにサンパウロ州内陸部や他州の支部、さらに運営委員会まで存在している。マルコーラはじめ、幹部の多くが既に逮捕されている状態にも関わらずだ。
またPCCは、アウキミンサンパウロ州知事やサンパウロ州西部の刑務所管理者のロベルト・メジーナ氏の殺害なども企てていた。殺害計画は、刑務所収監中のルイス・エンリケ・フェルナンデスが2011年8月11日に携帯電話でPCCの幹部2人と行なった会話の盗聴などで明らかとなっている。
アウキミン知事殺害計画は最近も再確認されており、同知事もこの事実を8月下旬に知ったという。同知事は14日、PCCに対する特別対策チームを結成することを明らかにしている。
15日付エスタード紙によると、マルコーラらのPCC幹部が正式にRDD行きになったら、PCCが報復のために14年W杯や選挙を狙った暴力犯罪を起こす可能性が強く、軍警が警戒を強めているという。