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「輸送インフラ改善せず」=PACで1400億レ投資も=物流大手が厳しい評価

ニッケイ新聞 2013年10月16日

 その大半が陸上交通と輸送インフラ整備に使われるPAC(経済活性化計画)への支出投資額は2009年以降1400億レアルに上り、ロジスティック改善に期待がかかっていたが、その実態は業界の期待を裏切るものだったと13日付エスタード紙が報じた。
 ロジスティック専門のコンサルタント会社インスティテュートIlosが国内の大手運輸会社役員300人に対して行った調査で、国内の物流システムは、改善どころかむしろ悪化しているという見方が業界内では強いことがわかった。
 その見方を裏付けるものとして、PACにおける公共工事の遅れが挙げられる。運輸会社役員らは、国道101号線の複線化は最大5年、リオ大都市圏に建設される道路(Arco Rodoviario de Rio de Janeiro)や北東部各地をつなぐ1730キロの北東伯鉄道、国道163号線の改善、パラー州から南大河州をつなぐ南北鉄道はそれぞれ4年、サンパウロ市近郊の環状道路の東部と北部、バイア州イリェウスとトカンチンス州フィゲイローポリスをつなぐ東西鉄道はそれぞれ3年完成が遅れているとみている。
 国内の物流システムに関するインフラの評価は、300人が1から10の点数を付ける形で行われた。この評価は09年から隔年で行われているが、同年は5・2点だった評価が2011年は5点、今年は4・8点と漸減している。
 同社のパウロ・フレイリ社長は、「ブラジルのロジスティックは〃二流〃のままと考えられているということになる」と懸念を示し、「交通インフラは政府が公約を掲げたような改善を遂げていない」という。
 調査に答えた役員の90〜99%は、輸送システムの欠陥は在庫の増大や荷物の到着、納入の遅れを招き、在庫管理費の増加や収益の損失、コスト高にも繋がると考えている。輸送システム上の混乱は主に整備状態の悪い道路、限られた交通網、異なる輸送手段の接続の悪さが原因だ。
 こういった問題を解消する政策として発表されたのが第一期、第二期PACだが、その信用性も失われてきている。PACに対する最初の評価が行われた2011年は6・2点だったが、今年の評価は5・7点に落ちている。
 PACの支出状況に詳しいコンサルタントによれば、政府自体も思ったような問題改善が進まないことに焦りを感じており、民間企業への落札も視野に入れているという。「労働者党とその支持政党は公共工事にかかるビューロクラシーを明確に理解しておらず、前政権が政治的な判断で民間に(公共工事を)移譲したと考えていた」との見解を示している。