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リブラ油田入札=政府は結果に満足を示す=唯一の5社連合が落札=収益の約41%は国庫へ=経営権8割近くがブラジル側

ニッケイ新聞 2013年10月23日

 【既報関連】21日にリオ市でブラジル最大規模の岩塩層下油田、リブラ油田の入札が行なわれ、ペトロブラスを含む5社連合が最低価格で落札した。応札したのがこれ一つだけだったため、競争がなく落札金額は低かった。反対陣営などから「貴重な国家資源の民営化」を批判する声は起きているが、政府は「結果に満足を示している」と2日付伯字紙が報じている。

 80〜120億バレルの埋蔵量があると推測されるリブラ油田の入札は、リオ市のウインザー・バラス・ホテルで滞りなく行なわれた。政府は「二つのコンソーシオ(企業連合)で争っている」と言っていたが、実際に採掘権を応札したのは5社連合一つだけだった。
 この5企業の経営権の配分内訳を見ると、オペレーターとなるペトロブラスが最大の40%を握り、開発主体として探査や採掘を主導する。経験と技術のある英蘭系シェル社(20%)と仏トータル社(20%)に加え、大資本投入かと注目された中国海洋石油総公司(CNOOC)が10%、中国石油天然気集団(CNPC)が10%の参加に留まった。
 21日付けG1サイトによれば、組さないと思われていたシェル社とトータル社が企業連合に入ったこと、中国企業の比率の少なさに、関係者や専門家から驚きの声が上がっている。
 応札が唯一だったため競争が起きず、入札価格が最低限に留まった。応札企業は150億レアルを契約金としてブラジル政府に30日以内に払い込むとされている。
 リブラ油田で得た収益の41・65%がブラジル政府に渡る契約となっており、政府は向こう35年間で合計1兆レアルの歳入を計算している。「我が家、我が人生」政策など大型政策を抱えて財源に四苦八苦していた政府にとって、この収入は大きな助っ人となる。
 今回導入された「生産分与契約方式」によれば、プラットフォームの発注など経営を司る運営委員会の50%の投票権は、新たに作られたブラジルの国営会社の岩塩層下石油公社(PPSA)が持ち、ペトロブラスを含む5社連合が35%、ペトロブラス自体が15%となっている。つまりブラジル側が運営委員会の投票権の80%近くを握るという形式だ。
 リブラ油田入札は、ブラジル史上最大の国家資産の「民営化」と報道されているが、ジウマ大統領は入札後に記者会見で声明を発表し、「油田収入の大半が教育や医療の財源となる」との意義を繰り返した。
 来年の大統領選挙に向けて、民主社会党(PSDB)のアエシオ・ネーベス党首らによる「民営化」批判に応え、従来のそれとは異なるモデルで行われたことを強調した。
 軍隊が厳重に警備する中、21日、入札会場の近くのリオ市チジュッカ区では、社会主義者労働者連合党(PSTU)をはじめとした急進左派政党が中心となってデモ行進が行なわれ、少なくとも8人に負傷者が出た。

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