ニッケイ新聞 2013年10月29日
国家高等教育試験(Enem)が26、27両日に行われ、710万人の受験申込者のうち約500万人が試験を受けた。28日付エスタード紙などが報じた。
MEC(教育省)によれば、今年はこれまでで最も多い欠席者数200万人(全体の29%)以上となった。欠席者の「割合」でみると09年の37・7%が最高で、その後、20%以上で推移している。
メルカダンテ教育相は「いくつかトラブルはあったが、重大なものは何もなかった」と試験が滞りなく行われたことを強調し、次のステップである採点は基準を厳しくして行うとした。
受験者36人はインターネット上に試験の写真を掲載し、カンニングの恐れがあるとして失格となり、詐欺容疑で告訴される可能性もある。
試験用紙輸送上の大きな混乱はなかったものの、全国の会場では小さな各種のトラブルが相次いだ。一部会場では電気や水の供給が一時止まり、ピアウイー州テレジーナでは20歳の受験者が出産のため試験を中断した。
ミナス州ベロオリゾンテでは試験会場のニュートン・パイヴァ大学で、申込確認書にあった住所と実際の住所が異なっていたと複数の受験者が主張し、混乱が起きた。27日には会場だった同州ケネディ大学の門が「10分早く閉じられた」という理由で約100人が受験できなかった。
また同州ヴァルジーニャでは26日、試験会場にバイクで向かっていた26歳男性が、国道491号線で反対車線から進入してきたトラックに撥ねられ、病院に搬送されたがまもなく亡くなった。
南大河州ポルト・アレグレでは雨の影響で10人が会場に到着できず、受験が認められないというトラブルもあった。38歳女性は「電線がショートして渋滞に巻き込まれた」と訴えた。
その他、サンパウロ市ではRGのコピーのみで原本を持参しなかったとか、サルバドールでは試験開始の数時間前に強盗に襲われ、警察に行った後に証明書を持って会場に行ったが許可されなかったなどのトラブルが相次いだ。
試験は概ね「難しくなかった」との声が多く、内容としては6月の〃抗議の波〃やローマ法王の来伯といった時事の話題は出ず、人種隔離、インディオなど人権問題が多く出題された。昨年採点方法が問題となった作文のテーマは、飲酒運転禁止条例(レイセッカ)だった。
また、60年代の時事漫画(charge)を用いた問題で、漫画の中のgasolina(ガソリン)のsがzと誤って書かれていたとして話題になったが、同教育相は「昔の正書法に従った。芸術作品に手は加えない。間違いではなく教育的な判断だった」と主張している。
試験の結果は来年初めに発表予定で、解答は30日までに公開される。