ニッケイ新聞 2013年10月31日
ブラジル出身で二重国籍のサッカー選手、ジエゴ・コスタ(25)が、ブラジルで開催される14年W杯をスペイン代表として参加する申請を行なったことでブラジルサッカー界に激震が走っている。30日付伯字紙が報じている。
ジエゴ・コスタはスペイン・リーグの強豪アトレチコ・マドリードのフォワードとして活躍する。今年3月にはブラジル代表(セレソン)に召集されていたが、肝心のコンフェデ杯に召集されなかった。ジエゴは3月に重用されなかった時点で「自分がフェリポン監督の構想に入っていないと感じた」という。
しかし、本人としては9月からはじまったスペイン・リーグで絶好調の成績で、30日時点でリーグ・トップとなる11得点を記録。これはメッシやクリスチアーノ・ロナウドといった世界的スター選手をも上回る数字だ。
それにもかかわらず10月のセレソンの親善試合に呼ばれなかったため、ジエゴはスペイン代表でプレーしたい旨を同国のマスコミに漏らしていた。
慌てたセレソン側は11月の親善試合でジエゴを急きょ召集したが、彼の気持ちは翻らず、29日、登記所でスペイン国籍を選択する手続きを行い、ブラジル・サッカー連盟(CBF)に自分を招集しないよう嘆願書を出した。
これに対し、フェリポン監督は憤りを示した。「自分の生まれた国でW杯があるときに他の国籍を選ぶとは裏切り者だ」とジエゴを非難し、11月の代表からも外した。
かたやスペイン代表のデル・ボスケ監督はジエゴの意向を歓迎し召集に前向きだという。
ジエゴはセルジッペ州出身だが、ブラジルでの経歴はサンパウロ州選手権の4部チームのみ。16歳で欧州に渡り、今日までスペインとポルトガルのチームのみでプレーしてきた。
CBFのジョゼ・マリン会長やパレイラ・ディレクターはジエゴの翻意につとめたいとしているが、可能性は低いという。