ニッケイ新聞 2013年9月3日
ブラジルピラルクー愛好会(平崎靖之会長)とリベルダーデ文化福祉協会(ACAL、池崎博文会長)が主催する初めての「ピラルクー試食会」が8月24日昼にサンパウロ市の東洋会館で開催され、招待者ら約60人が熱帯の珍味に舌鼓を打った。セビッチェ(マリネ)と唐揚げから始まり、刺身、蒸し焼き、骨で出汁をとったスープの5品を賞味した。
ピラルクーは〃ブラジルのタラ〃とも呼ばれる川魚で、1年で10キロに成長する。赤道地帯原産だが、鴻池龍朗さんの研究によりサンパウロ州でも養殖が可能になり、「餌や水温などを工夫することで泥臭さをなくした」という。現在は3軒合わせて約1千匹を育てている。
3軒の一つ、アラサツーバで生産をする末永リカルドさんは「前は果樹栽培やゴム液採取をしていた。新事業を探していたら鴻池さんに出会い、比較的小面積ででき、あまり手間もかからないと聞いて、ピラルクーを昨年から始めた」という。
当日はピラルクー革の鞄や靴などを製品化したバイ・フィリッピ社が商品を持参し、「牛革と同じ耐久性。イタリアでも評価されたので、次はバリへ。養殖だから自然にも優しい」と宣伝した。
アチラ・マリア・ダ・ロッシャ水産省事務次官は「アマゾン純正の魚をサンパウロで和風食材にする取り組みで、とても興味深い。将来的に輸出品としても注目している」という。アラゴアス州水産局のレジス・カヴァウカンチ局長も「食材としてサンパウロで定着すれば、原産地の一つである、旱魃がひどいセルトンの民が救われる。多いにこの計画に期待したい」とのべた。
日野幸治さん(64、福岡)は「セビッチェが美味しかった。思ったより柔らかくてクセがないね」と試食に満足していた。坂和三郎さん(79、東京)は「コリコリの歯ごたえがいい。フグ料理みたいに皿に並べて、ポン酢のようなタレで食べたら美味しいのでは」という。主婦の前田章子さん(51)は「シャブシャブのようにして食べたら、普通の家庭でも美味しく頂けていい。冬限定で〃ピラルク・スープ〃も良さそう。ゼラチン質が多そうだから、お肌にいいかも」と提案した。