ニッケイ新聞 2013年9月4日
来年に控えたワールドカップの開催地の一市、北部アマゾナス州の州都マナウスでは、ホテル業が成長の一途をたどっている。施設そのものに魅力があるポウザーダ(民宿)から、利便性を重視したアルベルギ(ドミトリー)、ホテルまで、マナウスを訪れる観光客の選択肢は増えつつある。
アマゾナス州観光公社「アマゾナスツール」によれば、少なくとも5つの大きな宿泊施設が近年中にオープンする予定だ。現在、同市にある全宿泊施設のベッド数は1万1058床で、ここから2千以上増えることになる。
今年の第2四半期のGDPは1・5%増だったが、ブラジルホテル産業協会(Abih)の北部担当部長のロベルト・ブルボル氏によれば、業界は2012年から今年にかけて約36%成長したという。「2011年から12年では、例えばマナウスではベッド数は3千だったが、現在は1万1千にまで増えている」と説明する。
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2010年。ホテルブームが渦巻く中、ジェシカ・レイトンさん(26)は、夫とともにマナウス南部にあった土地を購入した。前は学校だった建物があったその土地で、収益性の高いビジネスをしようと考えた。それがホテルだ。
「たぶん夫は、同じくホテルを経営している友人から影響を受けたんだと思うわ」と語る。建設にかかったのは9カ月。3階建ての23部屋のホテルが完成した。オープンから間もないにもかかわらず、投資した額の80%は既に回収できた。
「最初の2年は大変だった」というジェシカさんだが、「去年から今年にかけては30%売上げが上がった」とニンマリ。
2つのビッグイベントを控え、国内の旅行産業への投資は拡大している。Abihによれば2011年から始まった合計75億レ(約3千億円)に及ぶ投資で、2014年までに国内で新たに建設されるホテルは150に上る。
ホテルの収益は2012年まで8年連続で増え、しかも客室稼働率も上がっている。Cクラスの台頭に伴い、最も客室稼働率が高いのは3つ星ホテルだ。「唯一、稼働率が増えていないのはバイーア州とリオ・グランデ・ド・ノルテ州だけだね」とエウリコ・フェルニ会長。
ペドロ・メンドンサさん(61)。ガイド、ホテル勤務など約30年業界で働いた観光業のベテランだ。80年代末に弟と旅行代理店を開いたが、方向転換した。
「インターネットの普及で、旅行代理店業界は打撃を受けた。旅行をするとき、代理店でホテルを予約する必要はない。だから、ジャングルロッジに投資することにしたんだ」。
数年後には今の事業をたたみ、貯めた資金で市の中心部にビジネスホテルを経営する心積もりだ。「これからは都市型ホテルの時代だね。中心部は特に、あと数カ月でもっとリニューアルが進むと思うよ」と話している。(8月30日付G1サイトより)