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8月に58億ドルが流出=国外融資の返済など重なる

ニッケイ新聞 2013年9月6日

 中央銀行が4日、8月のドルは58億5千万ドルの流出超過で、同月としては変動相場制移行直前の1998年以来の出超と発表したと5日付エスタード紙が報じた。
 ドルの動きが最も大きかった最後の週は31億ドルが流出。政府関係者は、8月のドル流出は外国資本の流出ではなく、多国籍企業の利益送金や金融機関が11年に国外で受けた融資返済などが主因と説明。トンビニ中銀総裁も「融資返済などに伴う自然な動き」というが、米国の金融緩和策が9月に変更されるとの見通しが引き金となって起きたドル高を食い止めるための市場介入の影響も否定できない。
 ドルに対するレアル価は今年だけで15・2%下落。連邦政府が中銀に強力な介入を要請し、年内の介入額は1千億ドルを超す可能性もある。
 また、8月28日の通貨政策委員会が経済基本金利(Selic)を8・5%から9%に引上げたのは、インフレ抑制より、外国資本の流出を阻止してレアルの通貨価値を守るためと見る専門家もいる。利上げは内需を悪化させ、経済成長率を落とすが、通貨価値を高め、経常収支の赤字を減らす効果もある。
 一方、中銀は、為替安定のため、買戻し約束付のドル売りなどを数十億ドル規模で連日実施。2〜4日のドルは一時2・342レアルまで下がり、3日連続の下落となったが、連日の為替介入で外貨準備高が減少する事への懸念の声がないわけでもない。トンビニ総裁は「外貨準備高は3700億ドルあり、心配無用」というが、レアル下落を抑えるためのドル売り介入は1日100億ドルが必要で、ブラジルにはそれに耐えるだけの外貨がないという国外専門家の声もある。100億ドルの介入を行えば、輸入代金の決済と短期返済額がカバー出来なくなる可能性があるからだ。
 レアル安が進むなら今の内にドル購入という動きは国内外であり、1〜5月のドルは121億ドルの流入超過だったのに対し、6〜8月は99億ドルの流出超過。経常収支の赤字を外国投資でカバーするという従来のやり方も当面は望み薄で、米国の量的緩和策変更時の為替の動きに対する懸念が更に強まりそうだ。