ニッケイ新聞 2013年9月6日
国際交流基金の日本語上級専門家、池津丈司さんが約4年間の任期を終えて帰国するにあたり、柴原智代さんが22日、後任に着任した。
池津さん(52、東京)は、日本語教育のアドバイザーとして中南米全域で教師向けの研修やセミナーを行い、日本語教育を盛り立ててきた。主要任務だった、サンパウロ州立学校用の教科書全6冊の原稿作成も完了。順次、製本されつつある。
「言葉を『覚える』よりも、『使う』ことを意識して作った。出来上がりを持って帰れないのは残念だが、学生たちが楽しいと喜んでいるからよかった」と充実の表情だ。
インドやインドネシアでの勤務経験と比較し、「ブラジルでは、日本語教育を通して人間形成し、子どもを立派に育てたいとの思いが強い。ただ外国語として学ぶのとは違う」と話し、「優秀な人材を確保するためにも、教師の待遇改善が必要。これからも、日語学校の母体となる文協などの団体を盛り立ててほしい」とコロニアに呼びかけた。
柴原さん(49、長野)は18年間、埼玉市にある日本語国際センターで教材作成や教師研修に携わってきた。同センターが受け入れる教師数は、年間約500人。その大半は、日本語を「外国語」として学んだ非日系。
行政改革に伴い、日系人教師を対象とした研修がJICAから基金に移管されたことを受け、「『教師』と一くくりに出来ない日系人の置かれた環境を知り、現地と国内の支援体制をすり合わせていきたい」と来伯を希望した。「しっかり情報収集し、「本部にもフィードバックしていきたい」と意気込みを語った。