ニッケイ新聞 2013年9月11日
米国の諜報活動の標的にジウマ大統領も入っていたことが報道で明らかになり物議を醸している中、8日夜のグローボ局の報道番組「ファンタスチコ」は、石油公社のペトロブラスも米国の諜報活動の対象になっていると報じた。9、10日付伯字メディアが伝えた。
同番組はNSA(米国国家安全保障局)から漏れた極秘資料を独自に入手、NSAが内部のコンピューターネットワークに不正に侵入した政府、企業、金融機関のリストにペトロブラスが含まれていたことを明らかにした。9日配信グローボ紙電子版はこれに関する報道の中で「米政府は72時間に一度、ペトロブラスに関するレポートを受け取っている」と伝えている。
大統領府はこの件に関して9日に正式コメントを発表。「ペトロブラスはブラジル最大の企業。大統領への諜報と同等に深刻」と危機感をあらわにし、「安全やテロ撲滅などが目的ではない。経済的な利害が理由」との見解を示した。
また、コメントによればジウマ大統領や閣僚、主要補佐官らのメールが諜報の対象となっていたことが報じられて以降、政府はプレサル(岩塩層下油田)に関する情報が目的ではないかと疑っていたという。「全ての侵害行為について、ブラジル政府は米国政府に説明を求める」と締めくくっている。
コメント発表の前、大統領は閣僚や議員との会合で、ロシアのサンクトペテルブルグでG20開催中の5日夜、オバマ大統領から受けた説明の内容を伝えた。大統領補佐官らによれば、オバマ氏は何らかの措置を取ると約束し、「米国は両国の良好な関係構築のために投資をしている。諜報活動を正当化しても何の利益もない」と伝えたという。ジウマ大統領はオバマ氏に、24日にニューヨークで行う国連総会での開会演説でこの問題に言及する意向であることを告知済みだ。
ジウマ大統領はこのほかにも、オバマ氏に対し「テロ撲滅に向けた方策であったとしても、国家の主権を侵害してはならない」との見解を伝え、オバマ氏もそれに同意。「二国関係を非常に複雑にした」とも警告したという。
政府はこの件を重く見て欧州諸国にミッションを派遣し、どう諜報に対処しているか調査を行う方針だ。また、フィゲイレド外相は11日、米国の国家安全保障問題担当大統領補佐官で外交政策顧問のスーザン・ライス氏とワシントンで協議を行う予定だという。