ニッケイ新聞 2013年9月11日
労働省のナンバー2にあたる人物が、合計4億レアルにものぼる連邦政府や州の公的資金を公共利益のための市民社会組織(Oscip)に横流しする犯罪に関与していたことが判明し、9日だけで22人が逮捕された。10日付伯字紙が報じている。
連邦警察と国庫庁(CGU)は、労働省のパウロ・ロベルト・ドス・サントス・ピント労働局長らを、過去5年間で合計4億レアルの公的資金を世界市民開発機構(IMDC)に横流しした疑いで調査を行っている。
IMDCはミナス・ジェライス州ベロ・オリゾンテに本部を置く市民社会組織(Oscip)のひとつで、若者や成人の失業者に対して援助を施す団体とされている。
IMDCは現在、11の州と連邦直轄区で業務を行っているが、州や市との間で不正入札を行い、実際には契約通りのサービスの提供を行っていないのに、相場とされる金額を大幅に上回る資金を受け取っていたとされている。
連邦警察はIMDCのデイヴィソン・オリヴェイラ・ヴィダル会長を逮捕し、同会長所有の高級車や宝石、ヘリコプターの差し押さえを行った。同会長の銀行口座には600万レアルの預金があった。
IMDCによる不正な金銭授受の大半で便宜を図ったのは、ピント労働局長とされ、警察で事情聴取を受けたが、逮捕には至らず釈放された。
ピント氏は歴代の労働相の所属政党である民主労働党(PDT)の党員でブラジル銀行職員。2007年に労働省の特別局員となり、カルロス・ルピ氏が労働相の時、その片腕的存在となった。3年後に労働局長となり、ルピ氏が汚職で辞任後、ブリゾラ・ネット氏が就任するまでの数カ月は労働相代行も務めた。
また、ミナス・ジェライス州工業連盟(Fiemg)もIMDCに資金の横流しを行ったとして捜査の対象となったが、IMDCがFiemgからの横流しを正当なものとする偽造文書を作成するために、メンサロン事件で実刑判決を受けたシモーネ・ヴァスコンセロス氏が関与している疑いが浮上。9日、同氏は警察で事情聴取を受けた。
同氏はメンサロン事件での資金流通面での仕掛け人とされ、40年を超える実刑判決を受けたミナス・ジェライス州の企業家マルコス・ヴァレーリオ氏の企業SMPBでの右腕的存在で、同事件の裁判で12年7カ月の実刑判決を受けている。
9日の逮捕者の中には、マノエル・ジアス現労働相の補佐官であるアンデルソン・ブリット氏も入っている。