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麻薬常習者は全国37万人=クラック中毒が3分の1=女性や未成年者でも深刻=法相は「対策変更なし」

ニッケイ新聞 2013年9月21日

 全国の州都で行った麻薬常習者にかんする調査で、ブラジル人の麻薬常習者は約37万人で、うち3分の1がクラックによる中毒、14%が未成年であることなどがわかった。20日付伯字紙が報じている。

 今回の調査は法務省からの依頼により、オズワルド・クルス財団が2012年に行ったものだ。調査は各州都でそれぞれ2万5千人の人に聞く形で行われた。「麻薬常用者」という言葉は、半年で25日以上麻薬を摂取した人に適用する。
 それによると、ブラジルにおける麻薬常習者の数は約37万人だという。その内訳を地域別に見てみると、もっとも多いのが北東伯で、全体の38・7%を占めている。2番目は南東伯の29・6%で、以下、中西伯(13・3%)、南伯(9・7%)、北伯(8・6%)となっている。
 またブラジルにおける麻薬常習者の割合は、人口1千人につき23人となっているが、その23人中8人、つまり、3人につき1人がクラック中毒であることも明らかとなった。そこでも北東伯は43%と高いが、麻薬常習者人口はさして高くない南伯では、クラック常習者が麻薬常習者の50%を占めているのも懸念材料だ。
 さらに全国の麻薬常習者の14%にあたる約5万人が未成年者で、その半分以上の2万8千人がクラックやそれに類似した薬物の中毒であることもわかった。
 クラック常習者に関して詳しく見ていくと、全体の80%が非白人で、60・6%が独身、78%が男性となっている。また、41・6%に逮捕歴があり、55%が4年生から8年生のうちに学校を中退している。
 また女性のクラック常習者に関しては、44・5%が過去に性的虐待を受けており、さらに10%が今回の取材の時点で妊娠中だったことがわかった。
 クラック常習者の78・9%は治療を希望しているが、調査が行われる前、30日以内に精神科にかかった人は5%、セラピストにかかった人は7%と少なかった。
 この結果を受け、ジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法相は麻薬中毒対策を強化する必要があると答えたが、政府が現在行っている対策プログラム「クラックに打ち勝つのは可能」のやり方は間違っていないと語った。このプロジェクトでは、2012年から14年の麻薬中毒対策には40億レアルをあてているが、今日まで40%にあたる16億レアルしか費用が使われていない。
 また、12年1月に一斉取り締まりがはじまったサンパウロ市中央部ルス地区のクラコランジアでは、一時的に常用者が減っていたが、1年9カ月後の今は以前とかわらない数の常用者たちが行き来し、軍警の前でも平気で麻薬を吸っている。取り締まりはまだ続いているものの、軍警たちは以前のような乱暴な取り締まりが禁じられており、酒や煙草、麻薬類の常用者を扱うためのCratodは保健所の一つと変わらなくなってしまっている。