ニッケイ新聞 2013年9月21日
7月下旬にリオで行われた「世界ユースデー」では熱狂的な歓迎を受け、その人気を改めて印象付けたフランシスコ法王(76)が、就任半年を経てメディアの取材に応じ、「中絶や同性愛者の結婚などを非難することに固執するべきではない」と述べ、カトリック教会の態度を〃改革〃する必要性を強調したと20日付エスタード、フォーリャ両紙などが報じている。
法王はイタリアのLa Civilta Cattolica誌の取材に、「宗教は、人々に奉仕する上で自らの立場を表明する権利がある。しかし、神は我々を自由に創られた。人々の生活の精神的な部分に干渉することはできない。教会は新たな均衡を打ち立てるべきだ」との見解を明らかにし、同性愛者、離婚した人、中絶した女性などにも門戸を開くべきとの考え方を示した。
法王は就任早々の3月から、課題とされてきたローマ法王庁の改革に本格的に乗り出しており、8人の枢機卿を指名して専門委員会を組織した。
7月には、バチカンの財務管理局の経理担当者ヌンツィオ・サカラノ容疑者が、スイスからイタリアに現金2千万ユーロを不正に運ぼうとした疑いとマネーロンダリング(資金洗浄)の容疑で逮捕された事件を受け、バチカンの法律を改正し、金融犯罪に対する罰則を強化した。また、不透明な運営が問題視されるバチカン銀行にメスを入れるべく、調査委員会を設けている。
「教会に最も必要なことは何か」との問いには、「今一番求められているのは、信者たちの傷を癒し、心を温める力であり、信者たちにより近くあること」と回答。「それ以外のことは傷を癒してからでも話せる」が、「教会が小さなことや規律にとらわれすぎ、門戸を閉ざすこともあった」と述懐している。
法王の主張は、法王庁内部の改革も大切だが、教会のとるべき態度を改めることが最も大切という点で一貫しており、「世界ユースデー」でブラジルからローマへ戻る機内の取材でも、結婚の無効化に関する基準は「見直される必要がある」と述べ、同性愛者同士の家庭に対しても寛容な姿勢を示した。「もし彼らが神を求め、神に従おうとする意志を持っているのなら、私に彼らを裁く資格などあろうか?」とのコメントを残している。