ニッケイ新聞 2013年9月24日
マット・グロッソ州シャパダ・ドス・ギマランエスに住むフランシエレ・ドス・サントス・アルメイダさんは妊娠7カ月。我が子の誕生を心待ちにしつつ、65キロ先のクイアバ市まで行かなくてはならない出産の当日を不安に思っている妊婦の一人だ。
「早産が起きたりして赤ちゃんが死んでしまわないかが不安だし、クイアバまで行く途中で生まれてしまったらどうしようとかも考えてしまう」というフランシエレさんの言葉は、シャパダに住む妊婦の思いを代表している。
とはいえ、同様の不安を抱えている妊婦はシャパダ以外の町にも沢山いる。というのも、マット・グロッソ州内の141の自治体中、60市には産院がないからだ。
クイアバから30キロのサントアントニオ・デ・レヴェルジェルには手術の可能な病院が一つあったが、衛生基準を満たしていないとの判断で手術室は使用禁止となっている。
農村部に住むマルシア・ダ・シウヴァ・モウラさんは、産気づいたらタクシーを呼ばなければならないが、タクシー代を払えない家族がいる事も指摘し、「この地域にも産院や手術の可能な病院があったらどんなに楽か」とつぶやく。
市役所は2014年には手術室を再開と約束するが、地域医師会は、小さな自治体に産院がないのは、公共衛生行政の問題だと手厳しい。
同州南部バロン・デ・メルガソ市では、市内で子供が生まれない状態がもう20年間続いているが、州保健局では出産は基本的な医療サービスの一つで、産院の設置は市の責任というが、全国には、病院の建設費や医師招聘のための経費が払えない自治体も数多い。(20日付グローボ局サイトより)