ニッケイ新聞 2013年9月24日
先週末ベレンであった「日本週間」。取材とアマゾン80周年記念誌の販売・広報をかねて久方ぶりの訪問。汎アマゾニア日伯協会の会館が会場だったのだが「ここではもう無理」と嬉しい悲鳴が上がるほどの来場者を迎えた。開会式ではささやかながら、刊行記念スピーチ、会場に購入の呼びかけまでしてもらった。ご協力頂いた関係者にこの場を借りてお申し上げ、その盛況ぶりは後日詳報したい▼地元の人と四方山話をするなかで、80周年時に取材した人が病に臥せっていることを聞いた。4年前とはいえ、まだまだお元気だったのに—と驚く一方、「話を聞いておいて良かった」と変に自分を納得させたりもした。また、ある人が亡くなったと仄聞。ご親族に、お悔やみっぽいことを言ったら「…まだ元気ですよ」と怪訝顔。まあこちらは笑い話に落ち着いた▼健康の問題だけでなく、移住地を離れた人のことも聞いた。「インフラなどの環境は移住当時から何も変わってない」と聞いたモンテアレグレ。老後を考え、子供らが住むベレンやマナウスに数家族が転住した。辛酸を舐め自ら築いてきた〃古里〃は、さぞ離れ難かっただろう。取材当時も逡巡されていた。苦渋の決断だったに違いない▼違う一家は引越しの準備までしたものの「やはり俺たちはずっとここにいよう」と夫婦で安住の地と決めた。「その晩はゆっくりと寝ることができました」とのメールが届いた。我々メディア含め、アマゾン移住84年、戦後移住60年となにかと節目をつけたがるけれども〃移住〃は続いている。人を容易に落ち着かせないアマゾンで考えさせられた。(剛)