ニッケイ新聞 2013年9月25日
23日付エスタード紙の北東伯に関する特集に、「基幹構造(インフラ)の不備は懸念材料であると共にチャンス」と書かれていた。この記事を読んだ時、住民が裸足で生活する島に渡った製靴会社の販売員達が、「誰も靴を持っていないから皆が買ってくれるはず」「ここでは靴は売れません」という正反対の報告書を送ったという話を思い出した▼本日付3面には、中国経済の減速はブラジルのコモディティ輸出に影響するが「この不都合な状況は、生産性の向上と技術革新の拡大という観点から工業部門に刷新を促すことになる」と書かれた記事もある。不備や不都合をチャンスとするか否かは状況や能力次第かも知れないが、叩かれてもただでは起きないという位のしぶとさが生き残るための基本である事は間違いないだろう▼ピンチをチャンスに変える気概や能力は、小さなアイデアや工夫が奏功したりする中で養われていくものではなどと考えている内に、プラス思考の人の背後にはその人達を育てた人がいたはずという事にも思いが行った。蚤を蓋付きのガラスの入れ物に入れておくと蓋を外しても逃げていかなくなるという実験のように、自分の意見やアイデア、能力を悉く否定され、無力感の塊になった人は跳躍してみる事さえ止めてしまう。こうなったらいかに能力のある人でもプラス思考に到達するのは容易ではないが、その人に跳躍する能力さえあれば、チャンスを与える事で開花する可能性もある▼「不屈の魂」というと仰々しいが、工夫を惜しまぬレベルなら毎日の生活でも可能なはずだ。転んでも立ち上がり、前向きに歩く人との出会いは楽しい。(み)