ニッケイ新聞 2013年9月27日
26日朝のNHKで、東日本大震災後に被災者達を受け入れた福島県会津若松市の事を報じた。会津若松は震災による被害がさほど大きくなかったため、被災地に行って支援する事も考えていたが、福島第一原発の事故の故に現地入りを避け、被災者を受け入れて支援する事にした自治体の一つだ▼予想以上に集まった支援物資を保管する場所がなく、廃校となった学校の体育館を7カ月間使ったという話や、あの当時受け取った支援物資は今も手放せないという被災者の方の話を聞きながら、会津若松も壊滅的な被害を受けていたら、このような支援はなし得なかったのだなとも思った▼子供が病気になった時なども、自分の体調が悪くては面倒を見切れない。誰かが問題を抱えて悩んでいる時、自分自身が悶々とした状態では、相手の話を聞くのは不可能だ。そういう意味で先の番組は、常日頃感じていた、誰かを支援するためには自らの肉体的、精神的健康が(少なくともある程度)保たれていなければならないという事を再確認させてくれた▼東日本大震災から2年半が経ち、被災地の人々が震災の記憶が風化する事を恐れているという話も耳にするが、同じ様な恐れを抱いている人は世界各地に散らばっている。身近なところでは、20日からの雨で水害に見舞われたサンタカタリーナ州イタジャイ渓谷は2008年にも137人の死者を出しているし、リオ州山間部の水害被災地では今も住宅建設が終わっていない▼遠方に居て支援できない部分があるのは否めないが、隣人が助けを必要としている時に応じる事が出来る健康やゆとりを総ての人にと願うのは夢の夢か。(み)