ニッケイ新聞 2013年8月1日
世界的な潮流である若者の起業が、ブラジルでも増えているようだ。調査会社「Global Entrepreneurship Monitor」のリサーチによれば、ブラジルにおける新規の起業家の34%が25〜34歳、18%が18〜24歳の若者だという。
南部リオ・グランデ・ド・スル州都ポルト・アレグレ在住のガブリエル・ドゥルモンドさん(21)、アルトゥール・ボラセルさん(22)、オノリオ・ジアスさん(同)は、いずれも大学で経営学を勉強したわけではない。しかし共同で事業を始め、軌道に乗せている。
3人が同市内で共同経営する食料品店のコンセプトは、「田舎のスピリットを都市生活者に届けるお店」。同州生まれで、進学のため州都に出てきた3人が起業を思いついたのは、一昨年、欧州に旅行したときだ。
「今まで通い慣れていた店は、サービスが良いとは言えなかった。ヨーロッパにあるような、リラックスして買い物ができるような店を開きたいと思って」というのはドゥルモンドさん。
帰伯後に市内のマーケットを調査し、インターネットでも業界の情報を収集。3人で資金を出し合い、「Mercado Brasco」をオープンした。 目指すのは、「他の店にはないサービス」。「常連客の名前を覚えて話しかけたりすることで、単なるお客さんじゃなく、隣近所の住人同士のようなコミュニケーションをめざしたい」と意気込む。
「自立する気風で、企業経営をすることに関心を持つ若者が増えている」と語るのは、同州カトリック大学の経済学者ルイス・ヴィルウィック氏。インターネットの普及、成功例の増加、初期投資額の減額などで新規参入がしやすくなったこと、大学やSebrae(中小企業支援サービス機関)による起業支援、市場の需要などが、若者の起業の追い風となっているようだ。
「マニュアル化され、決められた業務をただこなすことを求められる企業で働くことに、彼らはあまり魅力を感じていない。広い視野で社会を見ることができるかどうか、サポートを得られるかどうかがカギになると思う」と説明した。(7月31日配信グローボ局ニュースサイトより)