ニッケイ新聞 2013年8月2日
ネットの普及による活字離れや電子書籍の普及により、アメリカなどの欧米先進国では大型書店が閉店するニュースなどが伝えられている。電子書籍がそれほど浸透していないブラジルでは書店の危機までの話は出ていないが、書籍の売上は落ちている。
ブラジル書籍協議所(CBL)と全国出版組合(Snel)が発表した資料によると、2012年の書籍の売上は498億レアルで、前年比3・04%の伸びを記録したが、これは5・84%のインフレ分が上積みされた結果であり、実際には2・64%のマイナスとなる。
売上部数で見ると、2011年の4億7千万部から4億3500万部へと7・36%も減っている。売上部数の減少は、政府が学校や図書館などの公共機関に回すための書籍の購入数が10・31%落ちたことが響いている。一般書籍の購買の落ち込みは5・43%だった。
その一方、電子書籍の売上は前年比343%と大幅な上昇を記録した。アップル、グーグル、コボといった電子書籍の世界的な大手がブラジルでのサービスをはじめたのが12年12月だから、わずか1カ月で大きな成果をあげたことになり、さらなる成長も期待されている。だが、電子書籍による売上は380万レアルで、まだ書籍売上全体の0・1%に満たないほど小さい。
CBLのカリーネ・パンサ会長は「ブラジルは出版が盛んだという世界的なイメージがあるが、このデータを見る限りそうではない。出版危機が来ないよう状況を見張る必要がある」と語っている。(7月31日付フォーリャ紙、エスタード紙より)