ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | ジウマ大統領=サンパウロ市へ81億レの資金援助=バス道整備や市街化用=地下鉄ではサンパウロ州政府批判=デモ受けた交通網対策も

ジウマ大統領=サンパウロ市へ81億レの資金援助=バス道整備や市街化用=地下鉄ではサンパウロ州政府批判=デモ受けた交通網対策も

ニッケイ新聞 2013年8月2日

 フェルナンド・ハダジサンパウロ市市長は7月31日、ジウマ大統領(共に労働者党・PT)立会いのもとで記者会見を行い、連邦政府から81億レアルの資金援助を受けたことを発表した。1日付伯字紙が報じている。

 ジウマ大統領はサンパウロ市に対し、経済活性化計画(PAC)から81億レアルの資金援助を行うことを約束した。この額はサンパウロ市が計上した年間投資額、30億レアルの倍以上にあたるが、ハダジ市長は、サンパウロ市はブラジル経済の12%を担っており「ブラジルが人間的、経済的、社会的な発達を続けたいのであれば、サンパウロ市は分相応の役割を果たすべきだし、それに見合う投資を州や国から受けてしかるべきだ」と語っていた。
 連邦政府からの支援はハダジ市長がかねてから望んでいたことだ。同市長は、3月に市議会に提示した到達目標の中で、年間投資額を60億レアルにする必要があるとした上、保健、教育に関しては2016年の任期末までにPACからさらに最低40億レアルの援助が振り向けられるはずとの考えを示していた。
 PAC資金81億レアルの内、31億レアルは計99キロのバスレーン設置にあてられる。ハダジ市長は2016年までに150キロの設置を考えているが、そのうちの約3分の2がこの費用で賄われる計算となる。
 33億レアルは「水源計画」にあてられ、市の水源である市南部のビリングス湖とグアラピランガ湖周辺に不法に建てた家に住む住民1万5千世帯は、持ち家政策のミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィダで用意した家屋に移動させる。侵食が進んだりして危険な地域は接収して修復し、上下水道を整備するほか、学校や保健所、レジャー施設も建設する予定だ。水源地周辺の市街化計画には、州政府から2億4千万レアル、サンパウロ市からも2億9千万レアルの投資が行われる。
 また、14億レアルは洪水対策のための防災池建設や市内の河川の河岸工事や汚泥撤去などの治水事業に充てられる。
 ハダジ市長は会見で、「歴史的な日だ」とジウマ大統領からの支援を喜んだ。一方、ジウマ大統領は、サンパウロ市は「世界で最も地下鉄の発達していない大都市」と評価した。地下鉄は州の管轄のため、この発言はジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB)政権批判となる。
 アウキミン知事は会見に出席しておらず、大統領発言についても言及していないが、PSDBのドゥアルテ・ノゲイラサンパウロ州支部長は「先進国のどこに国からの援助なしに地下鉄を作っている国があるんだ」と反論した。サンパウロ州の地下鉄5線に対する予算は220億レアルだが、ジウマ大統領からはその2%にも満たない4億レアルの支援しか約束されていない。
 ジウマ大統領は同日、州や市が国に対して負っている負債から市街化計画のための経費を免除することも発表した。これが適用されると、全国では総計353億レアル以上の負債が免除され、その分を交通機関の拡充に充てられることとなる。これは、6月に起こった全国規模でのデモで公共交通機関の問題が槍玉にあがったことへの対策と見られている。