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リオ=アマリウドはどこへ?=警官が連行後に姿を消す=カメラやGPS機能せず

ニッケイ新聞 2013年8月6日

 リオ市南部にあるファヴェーラ、ロッシーニャで、7月14日に警察に連行された建築作業員が行方不明となり、平和駐留警察隊(UPP)警官らの関与が疑われている。作業員の家族は本人は既に死んでいると確信し、法的な手続きを経て死亡証明を入手し次第、州を相手に賠償訴訟を起こす構えだと5日付G1サイトなどが報じた。
 問題の作業員はアマリウド・ディアス・デ・ソウザさん(47)で、7月14日夜UPP警官に取り囲まれ、警察車両でUPPに連行された後、消息を絶っている。
 7月13、14日は、同ファヴェーラ周辺で起きた集団強盗犯を探し、約300人の警官が地区内を捜索しており、アマリウドさんら約30人が警察に連行された。目撃者によると、アマリウドさんは自宅近くで警官に囲まれ、カーラ・ド・マカッコというあだ名の警官がポケットの中を探ったりした後に警察車両に押し込まれたという。
 妻のエリザベッテ・ゴメス・ダ・シウヴァさんは、隣人から夫が連行されたと聞き、急いで警察に行ったが、「すぐに帰すから先に帰れ」といわれて帰宅したのに、いつまでたっても夫は帰って来なかったという。
 アマリウドさんには11人の兄弟がおり、20年前に結婚。夫妻は子供6人と共に一間だけの小さな家に住んでいたが、力持ちのアマリウドさんは牛というあだ名で知られる気のよい男で、11歳の時には、火災現場に取り残された4歳の甥を飛び込んで救出したという逸話も残っている。
 父親は漁師で、幼い時亡くなったが、近所の人の手伝いや仕事のない日は手製の竿を手に出かける釣り好きで、当日も海で釣った魚の処理を終えたばかりだったという。
 ロッシーニャはサンコンラドとガーヴェラの二つのファヴェーラの間にあり、UPP設置後も麻薬取引の場所が100カ所以上残っている。警察はアマリウドさんは釈放したと答えたが、連行当日は警察車両のGPSや地区内の防犯カメラが機能しておらず、署を出た映像も残っていない。
 地区住民はUPPの警官がアマリウドさんを殺したと見て抗議デモなどを繰り返し、レブロンにあるカブラル知事宅にも押しかけたりしている。3日付エスタード紙によれば、マリア・ド・ロザリオ人権局長官は警官の関与は疑問の余地なしと見ており、ジョゼ・マリアノ・ベルトラメ州保安局長も1日に早期解明を約束した。アマリウドさん失踪事件の解明はサンパウロ市でのデモでも要請されており、検察も2日にUPP警官らを証人喚問した。アマリウドさんの家族が依頼した弁護士は5日、遺体は見つかってないが生存の可能性は皆無と考え、裁判所に死亡通知の発行を申請。書類ができ次第、州を相手に賠償請求を起こす予定だ。