ニッケイ新聞 2013年8月6日
スペインのバルセロナで行われていた世界水泳選手権で3日、男子の50メートル自由形でセーザル・シエロが優勝し、初の同選手権3連覇を果たした。4日付伯字紙が報じている。
シエロは3日に行われた50メートル自由形決勝を21秒32で制し、09、11年に続く、世界選手権での3連覇を成し遂げた。2位にはウラジミール・モロゾフ(ロシア)が21秒47で続き、ジョージ・ボーベル(トリニダード・トバゴ)が21秒51で続いた。昨年のロンドン五輪の同競技でシエロを破って金メダルに輝いたフロレント・マナウドウ(フランス)は21秒64で5位に終わった。
シエロは今大会、50メートル・バタフライでも2連覇を達成しており、二つめの金メダルとなった。
08年の北京五輪で金メダルに輝いたシエロにとって、ロンドン五輪の同種目で銅メダルに終わり、その後故障も経験したこの1年、「ずっと苦い思いを味わっていた」という。12年9月には両膝の手術も受けた。
「以前みたいに速く泳げるか不安だった」と語るシエロを支えたのは猛練習だった。ロンドン五輪後、これまでの自身のチーム「PRO16」を解散させ、コーチを10代からの付き合いだったブラジル人のアルベルト・ピント・ダ・シウヴァ氏から、大学時代の同僚だった米国人スコット・グッドリッチ氏に代えた。グッドリッチ氏と共に練習を重ねたシエロは、特に後半25メートルの向上に努めたという。
だが、今大会の前、シエロに勝てる自信があったのは50メートル・バタフライのみで、自由形に関しては「21秒45が出れば御の字」だったという。
結果はそれを上回る、手術後としては最速の記録となった。試合後、シエロは胸を叩いて叫んだが「泳ぎ終えた時点では順位がわからなかった」と、勝利が信じられない様子だった。
「この優勝は僕の競泳人生最高のもの」と語ったシエロは、表彰式で大粒の涙を拭った。