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サンパウロ市地下鉄カルテル=州検察が本格捜査に=45の疑惑の解明に動く=対象企業は全部で19社

ニッケイ新聞 2013年8月7日

 サンパウロ市地下鉄やCPTM、ブラジリアの地下鉄をめぐるカルテル疑惑をめぐり、サンパウロ州検察局が本格捜査に乗り出すことになった。6日付伯字紙が報じている。
 1998年から2008年に行われた入札でのカルテル疑惑は、ドイツの企業シーメンスが7月に行った内部告発で明らかになったもの(シーメンス社は告発の事実を否定)で、フランスのアルストン社や日本の三井といった世界的企業も絡んでいたとされている。同告発によれば、98年の入札でのカルテルの存在は、当時のマリオ・コヴァスサンパウロ州知事(民主社会党・PSDB、故人)も知っていたという。
 こうした事態を受け、サンパウロ州検察局も本格捜査に乗り出すことになった。捜査には刑事犯罪の専門家2人を含む10人の捜査官があたり、45件の疑惑を洗い直して行く。検察局が捜査の対象とする企業は19社で、これらはみな、ブラジルの公正取引委員会にあたる経済防衛行政審議会(CADE)がシーメンスからの報告を受けて明らかにしたカルテルに関わった疑いが持たれている。
 45件のうち15件は以前にも捜査が行われ、証拠不十分でお蔵入りしていたが、新たな情報入手で捜査が再開されることとなった。
 捜査が再開されるのは、地下鉄2号線の工事価格の上昇と工事期日延長に関する疑惑と、CPTM7号線、8号線の1700番車両21台の保守と部品供給における不正契約問題などだ。前者の契約金額は1億4300万レアルで、08年にサンパウロ市地下鉄とアルストン、シーメンスに対する捜査が行われた。後者の契約額は2千万レアルで、CPTMとアルストンが捜査対象とされていた。2件の捜査は08年に始まったが、証拠不十分で打ち切られていた。
 州検察は、急速に資産を増やした公務員と疑惑の対象となっている企業の癒着の実態や、入札から契約締結までの間や契約履行時にどういう不正が行われていたかを解明し、公的機関がどれ位の損害を受けたかを明らかにしたいという。カルテルが行われていたとされる期間に取り交わされた契約の総額は19億2500万レアルだが、シーメンスがCADEに対して行った証言によると、契約額は30%ほど跳ね上がったという。その場合、州は約5億5700万レアルの金を無駄遣いした計算になる。
 ジェラルド・アウキミンサンパウロ州知事(PSDB)は「カルテルとの関わりが判明した企業は即座に処罰する」と語り、1995年から同州の知事を生み出し続けている同党のアエシオ・ネーヴェス党首は「カルテル企業には州への賠償責任があり、関与した政治家も処罰されるべきだ」と語っている。州への賠償責任があり、関与した政治家も処罰されるべきだ」と語っている。