ニッケイ新聞 2013年8月8日
北東部のバイア州南部イタブナに住む漁師の家族が、4日未明に亡くなったペドゥリット・デ・ジェズス・コンセイソンさん(35)を埋葬出来ず、途方に暮れている。
というのも、ペドゥリットさんは昨年、間違えて死んだ事にされており、死亡証明が出されていたからだ。警察から「事件に巻き込まれた遺体の本人確認してくれ」と頼まれたペドゥリットさんの兄弟が、本人だと完全に誤認してしまった。警察から引き取ったまったく別人の遺体を、家族は丁重に埋葬し、正式な死亡証明まで発行されていた。
ところが、ペドゥリットさんは埋葬から約1カ月後、ひょっこり自宅に舞い戻ったことから、家族は驚いた。「お前は死んだ事になっている」と家族が説明すると、今後は本人がビックリ。
「オレは生きている」と証明するために奔走し、裁判所に出向いて死亡証明の撤回を求めていた。ようやく裁判官が「死亡証明は無効」との判決を下したのは約2週間前だった。
しかし、死亡証明が無効化されるのには最低2週間必要であり、その期日が来る直前、ペドゥリットさんは事件に巻き込まれて今度は本当に死んでしまった。
イタブナ市郊外のカリフォルニア区で、銃弾を浴びてペドゥリットさんが亡くなったのは4日未明。殺人事件の犠牲者として警察の管轄下におかれた遺体だったが、書類上、ペドゥリットさんはすでに死んだ事になっていたために、遺族は遺体を引き取らせてもらえない事態になった。
警察側は、遺体を前にしながら「死亡証明が無効化されない限り、遺体は引き渡すわけにはいかない」と杓子定規な態度を崩さず、遺族達は埋葬さえ行う事が出来ず、頭を抱えている。
バイア州では12年10月にも、事件に巻き込まれて死んだ男性の誤認事件が起きている。この時は、〃自分の葬儀〃に列席していた知人にたまたま電話した本人のジルベルト・アラウージョさん(41歳)が、「お前は死んだことになっているぞ」と知らされて驚き、生きていることを証明しようと葬儀の場に突然現れた。このため、参列者達がパニックに陥り、気絶したり逃げ出したりするというドタバタ劇が起きていた。(6日付グローボ局サイトより)