ニッケイ新聞 2013年8月9日
就任以来、政局運営の難しさに直面してきたジウマ大統領が、下院特別委員会が6日に承認した憲法補足法案(PEC)により、政局運営の道具の一つだった議員割当金の支出を義務付けられる可能性が強まった。
7、8日付エスタード紙ならびに8日付フォーリャ紙によると、下院特別委員会が承認したPECは、連邦議員が議員割当金を利用して提出する企画や投資は全額を支出するというものだ。
議員割当金には前年度の国家歳入の1%相当額が当てられ、上下両院で承認されれば、各議員は選挙年の14年に地元に還元するための工事などの資金として1千万〜1500万レアルを確保出来る。議員割当金を使った工事やイベントなどは地元での御披露目も公金で行う事が保証され、絶好の選挙キャンペーンの場とする事が出来る。
特別委員会でのPEC承認はエンリッケ・アウヴェス下院議長(民主運動党:PMDB)も後押ししており、5日に連立与党の政党リーダーらを招いて政治改革などについて話し合ったばかりのジウマ大統領は、寝首をかかれた格好となった。
アウヴェス議長は、通常の審議日程を無視して即刻審議をはかろうとしたが、連邦政府が同法案が承認された場合は最高裁に持ち込むという強硬姿勢を打ち出したため、正規の日程通り、13日と27日の下院本会議にかける事にした。
政権党の労働者党(PT)は、議員割当金の支出義務枠を50%(前年の歳入の0・5%)までにするよう提案したが、委員会は絶対多数で100%義務化を承認。再選を目指す議員達が公金を使って選挙キャンペーンを行う事を公然と認める法案に反対する理由はなく、法案通過は火を見るより明らかだ。また、同法案は大統領裁可を受ける必要がない。
連邦政府にとって議員割当金は議会操縦の道具で、最近も、各種法案を政府に有利な内容で承認させたり、審議を加速化させたりするために60億レアルの割当金追加支出を発表したばかりだ。
6月に起きた〃抗議の波〃後に打ち出した公約が思うように遂行出来ずにいるジウマ大統領は、政局運営のための道具が一つ減る事で、これまで以上の困難に直面する事になりそうだ。