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最高裁=「議員罷免通達は議会に」=メンサロンと異なる解釈行う=新判事2人の加入が影響

ニッケイ新聞 2013年8月10日

 連邦最高裁は8日、有罪判決を受けた上院議員の議員罷免問題に関して「最終的な罷免通達は議会が行う」との見解を判事投票の末に下した。これは昨年12月のメンサロン裁判で最高裁が下した判断と異なることから注目を集めている。9日付フォーリャ紙が報じている。
 最高裁は8日、ロンドニア州ロリン・デ・モウラ市の市長時代(1998〜02)に自分に近い企業に入札の不正斡旋を行った罪で、イヴォ・カッソル上院議員に4年8カ月と26日の実刑判決を下した。上院議員が最高裁で有罪となったのは初めて。また、有罪が確定した時点で行われた、議員罷免か否かの判事投票は、6対4で「議員罷免の最終通告を行うのは議会」という判決結果となった。
 この結果は、昨年12月のメンサロン裁判で有罪判決を受けたのちに繰り上げ当選となったジョゼ・ジェノイノ下議(労働者党・PT)をはじめとした4人の現職議員の議員罷免に関する、「議員は有罪判決になった時点で罷免」という判決に反するものだ。ただ、この際の判事投票も5—4の接戦で、議会内でも非常に強い反発が出たことなどから、メンサロンの上告裁判での大きな争点と見られていた。
 今回、メンサロンと異なった判決が出たのは、メンサロン裁判時に判事として加わっていなかった2人の新判事、テオーリ・ザヴァスキ判事とルイス・ロベルト・バローゾ判事の2人が「最終通告を議会が行う」の方に票を入れたことによるものだ。残る4票は、リカルド・レヴァンドウスキー副長官をはじめとした、メンサロン裁判時に反対票を投じた判事たちのものだった。
 この結果にジョアキン・バルボーザ長官は、「罷免通達は最高裁がすべきだ。この国は大きな責任を伴う職務に就いている人に対する処罰が甘すぎる」と憤慨した。
 これに対しバローゾ判事は、「私にとっては嘆かわしい憲法の見解ではあるが、憲法には従わざるを得ない」と応えた。憲法第55条は、「議員の罷免は513人の議員中、257人の賛同がなければならない」となっている。テオーリ判事も「憲法の不可解な点を訂正するのは、私たちでなく議会の仕事だ」と語っている。
 なお、今回の判決は、あくまでカッソル被告に対しての判決であり、判例として全ての件に適用されるものではない。
 メンサロン事件の上告裁判は今月14日から行われる。