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聖南西=「日語教育の再活性化を」=教育研究会創立30周年式典=安部下議「ブラジル発展に必要」=活躍期待される卒業生

ニッケイ新聞 2013年8月10日

 「ただの式典で終わらせるのでなく、下降気味の日本語教育の再活性化のスタートとなるよう、文協役員、父母会の皆さん、私ども教師共々、気を引き締めていきたい」。聖南西教育研究会創立30周年記念式典の謝辞で、同会の福澤一興会長は念を押すようにそう締めくくった。ピエダーデ文化体育協会で3日午後3時から行われ、日本語教師や文協役員ら約100人が出席し、晴れの日を祝った。

 主催した聖南西文化体育連合会の山村敏明会長は「この30年間で181回も定例会を開催し、新しい教育方法の導入、教師間の連係促進、情報交換に務め、生徒の学力向上に貢献してきた研究会の活動は尊いもの」と語り、多くの卒業生が、日本語だけでなく日本文化や価値観をもってブラジル社会の各界で活躍していると称賛した。
 渡辺久洋、岡田エリーナ両教師は「30年の歩み」という活動の推移を発表した。1983年に村中博さんら5校11人の教師によって発足し、84年には11校に増え、89年に連合会の傘下に入った。最盛は96年で19校、生徒数は1千人超を数えた。2000年以降、12校前後、現在は8校で350人程度となっている。
 教師や文協役員向けに定例会、教師合同研修会、区域外研修を行い、教育法の勉強を重ね、生徒向けにはお話学習発表会、作文コンクール、林間学校、青空スポーツ教室、デイキャンプを実施してきたと報告した。「2000年頃は日本からの教師が地区行事を引っ張って中心的な役割を果たした。その後日本から教師は減ったが、当時と変わらない活発な活動を維持している」と総括した。
 ブラジル日本語センター理事長代理で諸川有朋さん、かつて中学の国語教師をしていたという植田敏博領事(在聖総領事代理)は「美しい日本語を残そうという皆さんのご努力に頭が下がる思い」と語り、安部順二連邦下議は「日本語教育を通じて、語学だけでなく、勤勉さ、真面目さ、誠実さを教えることは、ブラジル発展に必要なこと。首都の議員仲間に今日のことを伝える」と熱く語った。
 当日は連邦議会から研究会創立者の一人、村中千寿さん(88、二世)に表彰状が、全教員に連合会から記念品が贈られた。同敷地内の百周年記念会館に場所を移し、婦人部、父母会らが準備した晩餐会となり、同地文協の中島秀雄会長が乾杯の音頭をとって、参加者は和やかに将来展望を語り合った。(7面に関連記事)