ニッケイ新聞 2013年8月10日
読み書きの困難な子ども向けのデジタル教材「DAISY」を、在日外国人児童の学習支援に応用している立命館大学の小澤亘教授(産業社会学部)が、当地の教育機関との連携の可能性をさぐるため来伯した。DAISYとは、「Digital Accessible Information SYstem(アクセシブルな情報システム)」の略で、いわゆる電子書籍。音声が文章を読み上げると同時に、読み上げ部分がカラーで強調される。視覚・聴覚障害やデスレクシア(読み書き困難)のある人向けに、世界約50カ国が参加する国際非営利団体「DAISYコンソーシアム」が開発している学習支援教材。当地日本語教育界の関心を呼びそうだ。
「この教材は外国人支援にも使えるかも」と考えた小澤教授は、DAISY研究会を立ち上げ教材を多言語化。日・外国語の両語に翻訳することで、在日外国人の日・母国語学習に応用できるようにした。今の所、教材は独自のものを使用、ポルトガル、スペイン、タガログ、中国、英の5カ国語に対応している。
今回は、「帰国子弟のポ語学習にも使えるのでは。海を隔てた連携をしたい」と思い立ち、当地を訪れた。「ボランティアが作ったものなので品質はまだまだ。そのままでは使えないかもしれないが、ブラジルの実態にあった新しい教材を作ることもできる。他国とも連携し、改良していきたい」と同教授。
教材は全てサイト上で無料公開しているため、「まずはサイトを見てほしい。教材開発のアイデアがある人、翻訳協力ができる人などはご連絡を」と呼びかけている。
DAISY教材のダウンロードおよび、小澤教授への連絡はサイト(rits-daisy.com)まで。