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サンパウロ州で移民労働者が激増=南米出身、男性が90%=非合法就労者の講習も検討

ニッケイ新聞 2013年8月13日

 ブラジル経済の成長は減速気味だが、外国人労働者を集めるだけの条件は整っているようだ。労務省サンパウロ州支所によれば、サンパウロ州で今年上半期に外国人に発行された労働手帳の数は5421で、4411だった昨年同期比23%増だった。11日付フォーリャ紙が報じた。
 国籍別で最も多いボリビア人は2432と群を抜いており、ペルー(303)、パラグアイ(281)、コロンビア(102)など、南米出身者が多い。大半は服飾業や小売などに従事し、4番目に多いハイチ(213)人は、その多くが土木作業員として働く。
 「服飾業界での非合法労働に対する監査の強化、出身国での失業率の高さなどを反映している」。ルイス・アントニオ・デ・メデイロス同支所長はこう説明する。
 また、欧州の深刻な経済危機の影響で、ポルトガル人(120)やスペイン人(51)からの労働者が増えている。観光やバー、レストランの各業界ではこの2国出身者とアルゼンチン人(73)の進出が著しい。その他フランス人(47)はIT業界、製薬業界などに従事する人が多い。
 短期契約の労働者派遣ビジネスで50年の実績があるGelre社では現在、求人待ちの欧州出身者が8千人いる。この数は4年前と比べ、2倍以上に増えている。
 大統領府戦略問題担当局(SAE)のマルセーロ・ネリ氏は、「(外国人労働者の増加は)懸念すべきことではない」との見解を示す。同氏によれば、労働手帳を有する合法的な労働者数は増えたものの、全体の労働市場からすれば外国人の割合はまだ小さいという。最新のIBGEの国勢調査によれば、外国人労働者は全体の0・3%。国連によれば全世界の平均は3%に達している。
 なお、サンパウロ市にはボリビア人25〜30万人、パラグアイ人4〜5万人、ペルー人2万人が住み、南米出身者8〜10万人が非合法で働いている。政府は、服飾、建設業等で奴隷状態で働く非合法労働者への職業訓練プログラムを検討中だ。
 パイロットプロジェクトの対象は250人で、労務省、商工開発省、ボリビア、ペルーの総領事館、服飾、小売業界、労働組合の関係者が9日に会合を開き、彼らへの講習の実施、労働市場参入について協議した。
 一方、教育への投資の遅れから、鉱業、石油、天然ガスなどの諸分野では技術者、熟練労働者の不足が目立ち、ここ5年ほど国外に労働力を求める傾向が強まっている。11日付エスタード紙は、ジウマ大統領は外国人技師がブラジルで働くための手続きの簡易化に向け検討を始めていると報じており、この方策が各種工事の遅れ、連邦政府予算の自治体への配分に関する問題解決に結びつくことが期待されている。